研究課題/領域番号 |
22K04941
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29030:応用物理一般関連
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
黒山 喬允 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 講師 (40781737)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 音響キャビテーション / ソノリアクター / 進行波 |
研究開始時の研究の概要 |
強力超音波を水中に入射すると,音響キャビテーション気泡と呼ばれる微細な気泡が生じる.この気泡は超音波の圧力変化により膨張収縮を繰り返し,最収縮時に気泡内部は高温高圧となり化学的作用を呈するため,様々な工業的応用が試みられている.強力超音波の発生には,一般にホーン型超音波振動子や定在波の共振を利用する超音波水槽(ソノリアクター)が用いられるが,これらの方式では気泡が局所的に高い数密度で発生し,気泡同士が振動を阻害し合うため化学的作用の効率を高めることが難しいという問題がある.そこで本研究では,この問題を解決するために,進行波を用いる新たな形式のソノリアクターを開発し,その評価を実施する.
|
研究実績の概要 |
2023年度は,2022年度に作成した進行波音波を用いるソノリアクターを用い,音響キャビテーション気泡を発生させその振る舞いを調査した.作成したソノリアクターでは,超音波振動子の駆動電圧を調整することで,リアクター内の音場を進行波から定在波まで変化させることができる.定在波成分が卓越する条件で音響キャビテーション気泡を発生させた場合,従来の定在波型ソノリアクターにおける実験からよく知られるように,気泡は音圧の腹近傍に集中する様子が観察された.これは気泡が音圧の腹に向かう第1ビヤークネス力を受けるためである.一方で,進行波成分が卓越する条件では,進行波の伝播方向に沿って気泡が移動する様子が観察された.これは,気泡が進行波の伝播方向に向かう音響放射力を受けるためであると考えられる.以上のように,研究計画で想定したようにソノリアクター中の音場が定在波的であるか,進行波的であるかによって気泡の振る舞いが変化することを確認した.また,ソノリアクター中での化学反応を支配する気泡内部温度を評価するために,気泡内部が高温高圧となることで生じるソノルミネッセンスの計測のための実験系の構築を行なった.その結果,配置した光電子増倍管によりソノリアクター中の気泡からのソノルミネッセンスを計測できることを確認し,その強度が定在波と進行波で変化することを確認した.しかし,音場の進行波成分・定在波成分の比率および音圧とソノルミネッセンス強度の定量的な関係の評価には至っていない.この定量的な評価については,当初の計画通り2024年度に実施する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標としていた,作成したソノリアクターを用いる音響キャビテーション気泡の生成に成功し,定在波もしくは進行波が卓越する各条件において気泡の振る舞いを確認できた.このため,本研究は概ね順調に進展していると判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は作成したソノリアクターを用いて,定在波と進行波の比率を変化させながらソノルミネッセンス強度の計測を行い,気泡による化学的作用の評価実験を行う.なお,一部の実験では,定在波と進行波の比率を柔軟に変化させることができるよう,実験に適する形で新たなソノリアクターを作成し用いる.実験による評価の完了後,研究成果をまとめ発表を行う.以上によって,研究目的を達成する.
|