研究課題/領域番号 |
22K04944
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 弘紀 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60321981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 磁場中物理気相輸送法 / 磁場中結晶成長 / 磁気力 / 強磁場 / 磁気科学 / 磁場中気相輸送法 / 磁気力場 / 磁場中結晶作製 / 物理気相輸送法 |
研究開始時の研究の概要 |
強磁場によって反磁性物質に対しても重力に匹敵するほどの磁気力を作用させることができるようになったが,大きな磁気力が結晶成長過程に及ぼす影響は未だ十分に理解されていない.本研究では,物理気相輸送法による結晶成長過程において,磁気力が気相の挙動に及ぼす影響を明らかにし,気相の動きを制御することで高品質な結晶作製を可能とするプロセス開発とその実証を目的とした研究を実施する.
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研究実績の概要 |
磁場や磁気力場が材料作製に及ぼす影響と,それらを利用した材料の高品質化,高機能化を目指して研究を進めている.具体的には透明ガラスヒーターと小型のCCDカメラ,汎用の試験管等を組み合わせた装置を作製し,磁場中での物理気相輸送法による結晶作製を試みている.これまでの結果として,反磁性物質である尿素を試料とした実験においては,結晶が析出する位置が磁気力の方向と大きさによって有意に影響を受けることを明らかにした.このとき結晶は,成長容器として用いている試験管の内壁に析出させていたため,析出位置は容易に確認できたものの,磁場の印加方向を保ったまま結晶を取り出して評価するのが難しい状況であった.そこで今年度は,試験管内に薄い石英板を挿入し,その上に析出させる方法を試みた.その結果,試験管内壁に析出する場合と同様,磁気力の方向によって析出位置の違いが見られるとともに,そのままの状態で容易に取り出すことが可能となった.取り出した結晶について,石英板上に析出状態のままX線回折をおこない,尿素結晶のピークのみが現れていることを確認した.実験は気相が鉛直方向に移動する配置でおこなっているが,下向きの磁気力が働く条件で作製した結晶は上向き磁気力の場合に比べて粗大化していることがマイクロスコープによる直接観察で確認できた.これは気相が磁気力によって下部に滞留し,結晶成長速度に違いが出ている可能性が考えられるが,析出位置の違いによる結晶成長時の温度の違いも考慮する必要があると考えられる.今後は炉内の温度分布を詳細に測定し,その影響の検証と制御についても検討していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
磁場中物理気相輸送法による結晶作製のパラメータとして,磁場,磁気力場,昇温速度や保持温度,保持時間などがあるが,磁場中実験で用いる超伝導マグネットは共同利用設備のため利用時間が限られており,実験に当初の予想より多くの時間を費やしている.また得られた試料の評価においても,磁場配向を確認するために極点測定を実施する予定であったが,多目的試料台の故障により通常の回折測定しか実施できていない.極点測定については装置の修理が完了次第速やかに実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
炉内の温度分布を測定し,保持温度を変化させることで磁気力によって変化する結晶の析出位置での温度制御を試みる.それにより,異なる磁気力の条件下で析出した結晶の形態や大きさの違いに影響を与える因子を絞り込み,磁気力と温度勾配の組み合わせと得られる結晶との関係を明確にする.それらの結果をフィードバックすることで温度勾配が制御可能な新規炉の設計を見直し,速やかな製作と改良をおこなう.さらに,新しい炉の製作と並行して現状の炉でも結晶の作製と評価をおこない,高品質化と機構解明に向けた系統的な実験をおこなう.
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