研究課題/領域番号 |
22K04948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 法政大学 (2023) 東京工業大学 (2022) |
研究代表者 |
加来 滋 法政大学, 理工学部, 准教授 (80583137)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 結晶工学 / 走査トンネル顕微鏡 / 超高真空 / ナノ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近年注目される新しい結晶成長法であるRemote epitaxyの解明とその材料工学としての展開を目指す。Remote epitaxyでは、基板3次元材料表面とその上に置かれたGraphene等の2次元材料とからの、両方の影響を利用した結晶成長を行う。Graphene上の成長薄膜を剥離・転写できることが特徴である。しかし、理想的に清浄な2次元&3次元材料界面の形成方法は確立されておらず、本研究でその実現を目指す。理想的な界面を得ることで、原子レベルに正確にRemote epitaxyを解明かつ制御し、free standingな半導体極薄膜をはじめとした、新しい材料創成を目指す。
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研究実績の概要 |
Remote epitaxyのナノレベルにおける解明のために、本年度は、Grapheneを半導体表面に接合する技術の開発を、昨年度に引き続き進め、また、実際にRemote epitaxyの試行実験を行った。 まず接合技術の開発については、Grapheneの上側の表面については、全く問題が見当たらない程度に清浄にできる所までたどり着いた。一方で、Grapheneの下側、つまりGrapheneと半導体表面との間は、30%の面積は清浄だが、70%の面積が汚染が残る状態である。30%とは言え、清浄な界面を得ることができた。清浄性の確認にはSTM(走査トンネル顕微鏡)を用いており、Grapheneの原子像に加えて、それを透過して半導体表面の原子像を確認することができた。少なくともGaAs(110)基板とInAs(110)基板とでは、同等の転写に成功している。一方で、GaAs(001)とSi(111)基板表面ではまだうまくいっておらず、原因の究明と改善が今後の課題である。 本年度はさらに、Graphene/GaAs(110)上に、GaAsのRemote epitaxyを試みた。しかし、恐らく界面の汚れがまだ大勢を占めていることとも関係していると判断しているが、初期的な実験では少なくとも、Remote epitaxyは確認できなかった。いずれにしても、完全に清浄な界面がSTMで確認できている表面(一部の面積とは言え)に置いて、Remote epitaxyの試行実験を行えたことは成果であり、来年度は他の結晶方位面まで拡張しつつ、より詳しく結晶成長を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年4月に、東京工業大学から、法政大学に異動した。これにより研究室を開くことができたが、一方で授業の準備、実験室の立ち上げのために、多忙を極め、進捗に影響が出ている。また、実験環境の全てを移設したわけではないため、東京工業大学への出張実験という形で進めざるを得ない部分も多く、本年度は思い通りに進められなかった部分が多い。
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今後の研究の推進方策 |
研究室の立ち上げのために、一時的に遅れてはいるが、自身の研究室を持てたことで、軌道に乗れば研究を加速できると考えている。 また、研究の内容に関しては、2023年度にRemote epitaxyの試行実験までは達成できたが、これ以上結晶成長を詳しく調べるには、もう少し界面の清浄化(清浄な面積の拡張)が必要なのではないかという、実験的な知見を得ている。また、GaAs(110)とInAs(110)にはGrapheneを転写できたにもかかわらずGaAs(001)に対しては難しい理由にも、界面の清浄性が関わっていると捉えている。このため、今後もまずはより一層の界面清浄化の取り組みを進める。幸い、改善を示唆するいくつかの方法を見出しており、引き続き技術開発を続ける。
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