研究課題/領域番号 |
22K04957
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
小島 信晃 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70281491)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 化合物半導体 / 層状化合物 / エピタキシャル成長 / 結晶成長 / 分子線エピタキシー / エピタキシャルリフトオフ / X線回折 / 結晶欠陥 / 薄層剥離 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体基板上に作製した化合物半導体薄膜を剥離し、安価な基板に転写して、剥離後の半導体基板を再利用することは、化合物半導体デバイスの大幅な低コスト化やフレキシブル・エレクトロニクスへの展開が期待できる。本研究では、従来手法と比較して大幅な低コスト化が可能な薄膜剥離法として、二次元層状化合物の劈開性を利用した化合物半導体膜の瞬間的な剥離技術の高度化に取り組む。本技術の改良により、剥離する化合物半導体膜の高品質化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、二次元層状化合物バッファを介してSi基板上にGaAsをエピタキシャル成長し、層状化合物の劈開により成膜したGaAs層を薄層剥離することで、III-V族化合物半導体デバイスの大幅な低コスト化を目指している。層状化合物上に成膜するGaAs層の高品質化が課題であり、層状化合物の表面ステップが、GaAsのエピタキシャル成長に与える影響を明らかにすることを本研究課題の目的にしている。 本年度は、Si(111)微傾斜(オフ方向:[11-2])基板上にGaSe/InSe層状化合物バッファを成膜し、その上にGaAsを成膜した試料の結晶性評価をX線回折により行った。Si基板表面、およびGaAs 成膜前のGaSeバッファ層表面には、Si基板の[-110]方向に沿った表面ステップが形成されており、成長過程に影響を与えると考えられる。X線回折測定の結果、GaSe膜、GaAs膜の結晶軸がSi基板の結晶軸に対して、それぞれ0.72度、0.97度、基板のオフ方向である[11-2]方向に傾いていることが分かった。さらに、GaAs結晶には異方的な歪みが残留しており、GaAsの結晶格子は、表面ステップに沿った[-110]方向に縮み、ステップ方向の[11-2]方向に伸びていることが分かった。これらの結果は、各ヘテロ接合界面において、ステップ端の結合が成膜核として重要な役割を担っており、界面での格子定数差が結晶軸の傾きと異方的な歪みの要因であると推定された。結晶軸の傾きは比較的大きな半値幅をもって分布しており、GaAsの結晶性低下をもたらしている。したがって、層状化合物上に成膜するGaAs層の高品質化のためには、ファンデルワールスエピタキシーが可能な層状化合物であっても、表面ステップを成長核とする場合には、各ヘテロ接合界面における格子定数差を考慮した材料設計が必要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
層状化合物上にGaAsをエピタキシャル成長させるためには、層状化合物の表面ステップ端を結晶核として利用することが有効である。本年度は、当初の予定通り、GaSe層状化合物上に成膜したGaAsの結晶性を評価することで、ステップ端の結合が成膜核として重要な役割を担っていることを確認し、GaAs層の高品質化のためには、各ヘテロ接合界面における格子定数差を考慮した材料設計が課題であることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果で、GaAs層の高品質化のためには、各ヘテロ接合界面における格子定数差を考慮した材料設計が課題であることを示すことができた。次年度は、本成果を基に、層状化合物バッファ層の材料構成を改善して、本研究課題の目標であるGaAs層の結晶性と各ヘテロ接合界面での表面ステップとの関係を明らかにする。
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