研究課題/領域番号 |
22K04958
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
村岡 道弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (10785554)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ガスハイドレート / キネティックインヒビター / 阻害剤 / 一方向凝固法 / フローアシュアランス / 相乗剤 |
研究開始時の研究の概要 |
天然ガスの輸送配管内でのガスハイドレート生成に起因する事故防止のためには、動的ガスハイドレート生成阻害剤(KHI)を添加することが有効な対策である。しかしながら、KHIの作用機構は未解明であり、新規KHI開発は経験的な勘に頼っており限界がある。申請者は、結晶学的な実験手法である一方向凝固法をKHIの評価に応用した独自の手法を開発し、作用機構の解明を進めてきた。この結果、解明のためには超低速実験の必要性が明らかになった。本研究では、超低速実験により未解明であるKHIの作用機構を解明する。これにより、有望なKHIの設計等が可能になると考える。以上により、新規KHI開発の飛躍的加速を達成する。
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研究実績の概要 |
本研究では、超低速の一方向凝固実験により、未解明である動的阻害剤(Kinetic Hydrate Inhibitor, KHI)の作用機構を解明する。これにより、有望なKHIの効率的選定、デザイン等が可能になると考える。また、弱いKHIは強いKHIと混ぜると、阻害効果を強める相乗剤として働くことが経験的に知られている。超低速実験と、高速実験の双方により、この相乗剤の作用機構も解明する。本研究により、弱いKHIと強いKHIの最適な混合比が理論的に計算できるようになると考える。以上により、新規KHI開発の飛躍的加速を達成する。 2022年度は、超低速実験用一方向凝固装置を試作した。本実験は低温実験のため、装置への結露と霜の付着の問題が生じる。このため、これまでは空気が乾燥した冬季でも12日間の実験が限界であり、60日以上にわたる超低速実験は実施不可能であった。この問題の解決を新規に試作した装置で試みた。当初は透明アクリル製の密閉容器内に設置した低温ブロック側で結露が生じたが、アクリル容器の密閉性を高める試行錯誤を繰り返し、最終的にアクリル容器内にシリカゲルを設置するだけで結露を防ぐことに成功した。また、長時間の連続運転中の落雷による瞬間停電対策として設置した無停電電源装置(UPS)のテストを実施し、瞬間停電があっても、装置が健全に連続運転可能なことを確認した。以上により、超低速実験用一方向凝固装置が完成した。 また、弱いKHIと、強いKHIを混合し、相乗剤の作用機構を解明するための一方向凝固実験を実施し、阻害効果の結晶成長速度依存性を調べた。これにより、弱いKHIにも、相乗剤として有効に機能するものと、機能しないものがあることが明らかになった。この結果を踏まえて、良い相乗剤の条件を考察・提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、超低速実験用一方向凝固装置を試作し、当初は結露対策に問題があったものの、試行錯誤を繰り返すことにより、結露対策は万全になった。また、長時間の装置連続運転に必要となるUPSのテストを実施し、実験に必要な機能と性能を有することを確認した。以上により、超低速実験用一方向凝固装置が完成した。また、弱いKHIと、強いKHIを混合し、相乗剤の作用機構を解明するための一方向凝固実験を実施した。これにより、弱いKHIにも、相乗剤として有効に機能するものと、機能しないものがあることが明らかになった。この結果を踏まえて、良い相乗剤の条件を考察・提案した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、超低速実験用一方向凝固装置によりPVCapの臨界成長速度を決定し、理論予想値との定量比較を実施する予定である。これにより、KHIの阻害メカニズムを解明できると考えている。また、2022年度は弱いKHIと、強いKHIを混合し、相乗剤の作用機構を解明するための一方向凝固実験を実施し、阻害効果の結晶成長速度依存性を調べた。相乗剤の阻害効果メカニズム解明のためにはさらに高速の結晶成長速度領域での阻害効果を調べる必要があり、これは2023年度以降に実施する予定である。
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