• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

時間壁によるテラヘルツ波の周波数変換の高効率化

研究課題

研究課題/領域番号 22K04964
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分30020:光工学および光量子科学関連
研究機関信州大学

研究代表者

宮丸 文章  信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (20419005)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードテラヘルツ波 / 周波数変換 / 時間壁
研究開始時の研究の概要

テラヘルツ波は目覚ましい技術的な発展とその応用展開が実現されてきていますが,テラヘルツ波の周波数制御は困難な課題のひとつでした。その課題を克服するため,最近,時間壁を用いたテラヘルツ波の周波数変換が実現されましたが,理論的に予想される最大効率には達しておらず,周波数変換効率を向上させる余地が残されています。
本研究では,時間壁によるテラヘルツ波の周波数変換効率における問題点を解決するため,変換効率低減の主な要因の物理的メカニズムを解明し,それらを改善する方法を見出すことにより,変換効率を理論的に予測される値に近づけることを目指しています。

研究実績の概要

テラヘルツ波の周波数を高効率で変化させることは,これまで困難とされてきました。高効率な周波数変換を実現する方法として,時間壁を用いる方法があります。しかし,これまでの研究において,理論的に予想される変換効率を実験的に観測するには至っていません。その主な原因は,周波数変換前後における,テラヘルツ波の伝搬ロスが関係していると考えられます。本研究では,時間壁を用いた周波数変換におけるテラヘルツ波の伝搬ロスの課題を解決するために,その伝搬ロスの原因の明確化と改善方法を探ることを目的としています。
昨年度は,従来の半導体導波路を用いて,光励起後の半導体導波路伝搬における減衰定数の測定を行いました。その結果,半導体導波路を伝搬するに従って,テラヘルツ波の強度が減衰する量を実験的に見積もることができました。
本年度では,表面に金属パターンを作製した半導体導波路について,同様の測定を行い,光励起後の減衰定数を測定しました。金属パターンは,テラヘルツ波の伝搬方向に伸びた金属ラインを,ギャップ間隔を空けて周期的に並べたものを使用しました。その結果,金属パターンが無い従来の半導体導波路の減衰定数に比べて,金属パターンを作製した場合は,低い減衰定数の値が得られました。金属ラインの周期は等しく,ギャップ間隔が異なる導波路を3種類作製したところ,ギャップ間隔が最も狭い導波路において,最も低い減衰定数が得られまた。この結果は,金属パターンによって,光励起される半導体表面の面積が減少し,それゆえ,光励起キャリアによるジュール損が減少したために,テラヘルツ波の減衰も減少したものと考えられます。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,表面に金属パターンを作製した半導体導波路について,光励起後の減衰定数を測定することを目的としました。その結果,金属パターンが無い従来の半導体導波路の減衰定数に比べて,金属パターンを作製した導波路では低い減衰定数の値が得られました。この結果は,金属パターンを半導体導波路表面に作製することにより,周波数変換特性自体は保ちつつ,光励起後の減衰を抑えることができたことを意味しています。これらより,本年度は概ね順調に進展しているものと考えています。

今後の研究の推進方策

次年度は,導波路表面に金属パターンを持った導波路において,より詳細なテラヘルツ波周波数変換に関する特性を調べていく予定です。具体的には,時間壁前のテラヘルツ波の伝搬に伴う減衰特性を調べます。いくつかの長さの異なる半導体導波路表面に,同じ金属パターンを作製し,その透過特性を測定することによって,時間壁前の伝搬に伴う減衰の様子を調べることができます。それらの結果と,時間壁後の減衰定数の両方を考慮することによって,時間壁による周波数変換方法に際して,テラヘルツパルス形状がどのように変化するのかを詳細に調べることができます。また,金属パターンがある半導体導波路を計算機内でモデリングし,高密度に励起された光励起キャリアの空間分布を計算することによって,時間壁前後の伝搬の様子のシミュレーションを行います。さらに,周波数変換に伴う伝搬ロスを軽減するための,他の新たな手法について検討していく予定です。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Hidden symmetry protection for surface plasmon polaritons2023

    • 著者名/発表者名
      Nakata Yosuke、Nakanishi Toshihiro、Takahashi Ryo、Miyamaru Fumiaki、Murakami Shuichi
    • 雑誌名

      Physical Review Research

      巻: 5 号: 4

    • DOI

      10.1103/physrevresearch.5.l042027

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bulk-edge correspondences for surface plasmon polaritons: A circuit approach2023

    • 著者名/発表者名
      Nakata Yosuke、Nakanishi Toshihiro、Takahashi Ryo、Miyamaru Fumiaki、Murakami Shuichi
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 108 号: 17 ページ: 174105-174105

    • DOI

      10.1103/physrevb.108.174105

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 時間壁を用いたテラヘルツ波周波数変換における取り出し効率の向上2023

    • 著者名/発表者名
      天木美希, 高野恵介, Joel Perez-Urquizo, Julien Madeo, Keshav M. Dani, 中田陽介, 中西俊博, 宮丸文章
    • 学会等名
      テラヘルツ科学の最先端X
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi