研究課題/領域番号 |
22K04970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
熊谷 寛 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (00211889)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光ポンピング原子磁気センサ / 室温原子層堆積 / 重溶媒 / フレネル反射損失 / 偏極スピンの緩和防止 / 無反射多層膜構造 / 光増強型 |
研究開始時の研究の概要 |
光ポンピング原子磁気センサはベッドサイドでも心臓や脳神経由来の微小磁場をモニタリングできる可能性がある。しかし2次元センサアレイに資する、チップサイズの原子セルでは、①光と原子の相互作用長が短く、②光ポンピングされた偏極スピン原子がセル内壁と頻回に衝突し急速にスピンが緩和され、感度が低下する問題があった。本研究では、原子セル内壁でのスピン緩和を最小にするため磁気モーメントの小さい重水素核に注目し、重溶媒を酸化剤とする重水素化薄膜の室温原子層堆積を世界で初めて実証する。重水素核による偏極スピンの緩和防止メカニズムを解明し、光学的にも反射損失/散乱損失を抑制できる無反射多層膜構造を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究の2年目では、まず、石英ガラスセル内壁の至る所に、しかも均一に原子寸法精度の堆積を実現した。ルビジウムを封入するため、石英ガラスセルへのアルカリ金属蒸気の充填システムを重水素化薄膜コーティングシステムと真空一貫で接続した。磁気光学回転を利用した偏極スピン緩和時間計測システムにより、重溶媒依存性、重水素化率依存性、緩衝ガス種依存性、緩衝ガス圧依存性を調べ、明らかにした。室温原子層堆積装置はすでに開発済み。Rbの共鳴周波数に同調、離調できる外部共振器型半導体レーザーを用い、レーザー光を分割し、ポンプ光およびプローブ光として利用し、スピン緩和時間を明らかにした。次に、重水素化薄膜の膜厚を原子寸法精度で制御し、偏極スピンを緩和する双極子-双極子相互作用を精密制御した。アルカリ金属原子と重水素化薄膜表面との近接相互作用の詳細を研究した。偏極スピンとセル内壁表面との相互作用に起因する、アルカリ原子間のスピン交換衝突レート、蒸気セルを横切る磁場勾配による緩和レート、他のアルカリ原子・第3体の緩衝ガス原子とのスピン破壊衝突による緩和レート、光ポンピングレート、プローブ光の光吸収レートなど各緩和レートの最小化を追求した。その上で、アルカリ原子セルの内壁との衝突による偏極スピン緩和レートの重水素化薄膜の膜厚依存性、重水素化薄膜の膜質(重水素化率)依存性、原子セル温度依存性を調べ、偏極スピンとセル内壁表面との相互作用を明らかにし、緩和メカニズムを研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標としていた、石英ガラスセル内壁の至る所均一の重水素化薄膜コーティング、偏極スピンとセル内壁表面との双極子-双極子相互作用の研究を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新たに光増強型共振器を開発し、緩和防止・無反射多層膜を内外壁にコーティングした原子セルを光増強型共振器に挿入し、フレネル反射損失や表面散乱損失を十分に抑制し、光増強できることを明らかにする。
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