研究課題/領域番号 |
22K04977
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
欠端 雅之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70356757)
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研究分担者 |
屋代 英彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (30358197)
大村 英樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (60356665)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 光プロセッシング / フェムト秒レーザー / 固体表面修飾 / パルス合成 / 時空間特性 / アブレーション |
研究開始時の研究の概要 |
フェムト秒レーザーを適切な条件で固体表面に照射するとレーザー誘起表面周期構造が形成される。物質や照射条件に依存し多様な形状が形成可能であり、表面への機能性付与への応用が期待されている。 本研究では、異なる偏光・異なる波長のフェムト秒レーザーパルス対を位相精度で時間的に組み合わせ、特異な時間・空間依存性を有する「時空間発展制御パルス」を発生し、レーザー誘起表面周期構造形成の制御技術の開拓に取り組む。このような光パルスは原子・分子のイオン化や高次非線形現象の研究で効果が検証されているが、固体の表面修飾の報告はなく、新規形状の作製や新規制御技術の実現に繋がることが期待される。
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研究実績の概要 |
フェムト秒レーザーを適切な条件で固体表面に照射するとレーザー誘起表面周期構造が形成される。物質や照射条件に依存し多様な形状が形成可能であり、表面への機能性付与への応用が期待されている。本研究では、異なる偏光・異なる波長のフェムト秒レーザーパルス対を位相精度で時間的に組み合わせ、特異な時間・空間依存性を有する「時空間発展制御光パルス」を発生し、レーザー誘起表面周期構造形成の制御技術の開拓に取り組む。このような光パルスは原子・分子のイオン化や高次非線形現象の研究で効果が検証されているが固体の表面修飾の報告はなく、新規形状の作製や新規制御技術の実現に繋がることが期待される。本研究の目的は、時空間発展制御光パルスやダブルパルス照射による固体表面の周期構造形成やアブレーション特性を実験的に調べること、さらに表面周期構造形成の機構を明らかにし表面周期構造制御の高度化を行うことである。 具体的な研究内容としては、(1) 基本波と二倍波のフェムト秒レーザーパルスの偏光状態を調整し同軸上に組み合わせ相対遅延を位相精度で制御する手法による時空間発展制御光パルスの発生、 (2) 誘電体や金属表面への照射によるアブレーションや周期構造形成の評価、(3) 表面周期構造形成機構に関連する時間発展情報等の取得である。 二色パルスを同軸上に配置し、各偏光状態の調整と遅延の精密制御を可能とする時空間発展制御光パルス発生光学系を構築し、照射実験を実施した。2022年度はジルコニアセラミックスを対象とし、2023年度はチタン合金を対象とした実験を実施した。各波長のフェムト秒パルスに対するアブレーションと周期構造形成のフルエンス依存性等の基礎特性を評価し、さらに二色ダブルパルス照射を行いパルスの遅延に対するアブレーションと周期構造形成を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2022年度は、時空間発展制御光パルス発生光学系の構築、そして固体として誘電体材料であるジルコニアセラミックスへの照射実験を実施した。 2023年度は、金属材料であるチタン合金を対象とした照射実験を実施した。基本波800 nmと二倍波400 nmのフェムト秒レーザーパルスを各々単独で複数ショット照射し、アブレーション痕を共焦点レーザー顕微鏡や電子顕微鏡で観察・計測し、アブレーション閾値フルエンスと周期構造形成の依存性を評価した。従来報告されているように、照射フルエンスに依存して形成される二種類の周期構造を、各波長に対して確認した。 さらに、二色ダブルパルス照射を行い、遅延に対するアブレーション特性の変化ならびに形成される周期構造の変化を確認した。各波長のパルスのみの場合にフルエンスに依存して形成される各二種類の周期構造(計四種類)と、二色ダブルパルス照射により形成される周期構造の形態を、比較検討した。 また、合成された時空間発展制御光パルスの特性評価方法として、気体原子・分子のイオン化を観察する方法について予備実験を実施した。上記のようにほぼ計画通りに研究が進んでおり、おおむね順調に進展している(2023年度の成果:論文一件、国内学会発表2件)。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、二色ダブルパルスの遅延に対するアブレーション特性や周期構造の変化を確認出来ているが、二色合成電場の時空間波形の変化が周期構造に与える影響の確認には至っていない。そこで、2024年度以降の研究として、光電場合成が生じる遅延範囲における固体表面への照射実験を実施する。構築した時空間発展制御光パルス発生光学系により時空間発展が制御された光パルスが発生されているはずであるが、合成された時空間発展制御光パルスの特性評価方法として気体原子・分子のイオン化を検出する方法についても検討する。気体原子や分子のイオン化を用いた光パルスの評価結果と固体表面への照射による表面周期構造形成結果を比較することで、詳細な解析が可能となると考えられる。
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