研究課題/領域番号 |
22K04980
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
相澤 直人 東北大学, 工学研究科, 助教 (70707033)
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研究分担者 |
宍戸 博紀 東北大学, 工学研究科, 助教 (90827792)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 溶融塩炉 / フッ化物溶融塩 / 核変換 / 炉心設計 / マイナーアクチノイド / 核分裂生成物 / 長寿命核分裂生成物 / 放射性廃棄物 / 原子炉設計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、液体燃料を使用し従来型原子炉と比べて高い安全性を有する第4世代原子炉である溶融塩炉を対象に、化学分離技術と炉心設計の最適化を通して、運転時に発生する放射性核種を自己完結的に原子炉内で燃焼させることによって放射性廃棄物ゼロエミッションの可能性を追求する、溶融塩炉原子力システムの概念設計を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、原子力プラントで発生するマイナーアクチノイド(MA)や核分裂生成物(FP)などの放射性核種を同一プラント内ですべて核変換し、放射性廃棄物の排出を極小とする自己完結的な高い安全性を有する原子力システムの実現を目標として、運転中に燃料塩の調整・生成元素の連続除去が可能な溶融塩炉原子炉システムを対象に2023年度は以下の検討を行った。 1.元素の化学的特性に基づき、溶融塩に溶融可能な核変換対象FP核種について、長寿命核分裂生成物(LLFP)であるSe-79、Zr-93、Sn-126、I-129、Cs-135、高発熱性FPであるSr-90、Cs-137を選定した。 2.FLiBe系フッ化物溶融塩を用いた、黒鉛減速フッ化物溶融塩炉の炉心設計を実施した。炉心設計では、燃料塩にMAを添加し、かつ炉心外側の反射体部にFPを含む溶融塩流路を配置した炉心を設計し、核解析によって原子炉としての成立性を検討するとともに、MAおよびFPの燃焼特性を解析した。その結果、検討した多くの放射性核種において、原子炉での生成量を上回る核変換が可能であることが示された。 3.効率的な核変換のための中性子スペクトルが実現可能な溶融塩炉の検討として、フッ化物溶融塩燃料組成の調整による可変中性子スペクトル溶融塩炉の基礎検討を行った。検討では、LiF-BeF2-ZrF4-UF4フッ化物溶融塩系を対象として、運転温度600℃で液体溶融塩を形成可能な組成のサーベイならびに密度などの物性評価、原子炉としての成立性検討のための臨界解析を実施し、臨界条件を満足する溶融塩組成の範囲の特定を行った。また、得られた溶融塩組成の範囲内で燃料塩組成を変更することにより、中性子スペクトルが変化できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間を要していた、化学特性に基づく核変換対象FP核種の検討が予定通り完了するとともに、昨年度整備した解析ツール等を用いて溶融塩炉の物性解析を進めることができた。炉心設計についても、計画通り順調に進捗している。なお、対象とする溶融塩として、当初はフッ化物・塩化物の2種類を想定していたが、2023年度に検討した結果、熱中性子炉と高速炉の両方に対して適用可能性のあるフッ化物溶融塩のみに検討を絞ることとした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き溶融塩物性解析を進めるとともに、断面積特性などを踏まえた炉心設計による核変換性能の向上を検討する。また、2023年度に検討した可変中性子スペクトル溶融塩炉概念の詳細検討を実施する。
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