研究課題/領域番号 |
22K04993
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
甲斐 健師 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (70403037)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 水の光分解・放射線分解 / モンテカルロコード |
研究開始時の研究の概要 |
水の光分解・放射線分解に関する基礎研究は、生命科学や原子力科学における新たな知見となる。その過程は、物理・物理化学・化学過程に分類される。その中でも特に、化学活性種の初期生成に相当する物理化学過程は、実験・シミュレーション共に非常に困難であり、多くの未解明メカニズムが存在する。本研究では、物理化学過程に特化した計算コードを高度化することで、ラジカルの初期生成メカニズムを解明し、得られた結果を化学過程に接続することで、水分解の全貌解明を目指す。この基礎科学における新展開は、自然科学におけるブレークスルーとなり、水分解が関与する生命科学・原子力科学のみならず様々な分野のイノベーションに貢献する。
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研究実績の概要 |
水の光分解・放射線分解に関する最先端の基礎研究は、生命科学における放射線DNA損傷や原子力科学における水化学の新たな知見となるため社会的関心が非常に高い。その過程は、物理・物理化学・化学過程に分類される。その中でも特に、化学活性種の初期生成に相当する物理化学過程は、実験・シミュレーション共に非常に困難であり、多くの未解明メカニズムが存在する。本研究では、物理化学過程に特化した計算コードを高度化することで、ラジカルの初期生成メカニズムを解明し、得られた結果を化学過程に接続することで、水分解の全貌解明を目指す。この基礎科学における新展開は、自然科学におけるブレークスルーとなり、水分解が関与する生命科学・原子力科学のみならず様々な分野のイノベーションに貢献する。 令和4年度は、水の放射線分解により生じる、化学活性種の一種である水和電子の生成メカニズムについて理論的研究を実施した。その結果、水和電子の初期収量を理論予測するには、放射線分解の結果生じる二次電子の空間分布を第一原理計算する必要があることが分かった。本研究により得られた水和電子の初期収量は実験結果を再現することを示した。水の光分解に関しては、エネルギー付与の結果生じる電子の空間分布を理論予測し、化学過程の実験結果から予測された分布と一致することを示した。これにより、放射線物理と放射線化学の理論的融合研究に成功した。これらの成果は、今後展開する水分解の全貌解明に向けた基礎基盤となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、物理化学過程における研究成果を挙げ、更なるコード開発に展開した。 (1)水の放射線分解に関しては、水和電子の初期収量を理論予測することに成功し、英国化学会のRSC Advances (IF=4.036)に掲載された。 (2)水の光分解に関しては、エネルギー付与の結果生じる電子の空間分布を理論予測し、化学過程の実験結果から予測された分布と一致することを示した。これにより、放射線物理と放射線化学の理論的融合研究に成功し、米国物理学協会のThe Journal of chemical physics (IF=4.304)に受理された。 (3)放射線物理と放射線化学の理論的融合研究を展開するための、化学コードの開発にも着手した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、下記の(1)ー(3)を実施する。 (1)水の放射線分解に関しては、これまで注目してきた水和電子以外の化学活性種の生成メカニズムの解明に向けて計算コードを高度化する。 (2)水の光分解に関しては、従来の実験結果と比較検討することで計算コードを高度化し、三体シングルスパー及び多体シングルスパーの生成メカニズムについて理論的研究を実施する。 (3)化学コードの開発に関しては、従来の実験結果と比較検討することでコードを検証する。
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