研究課題/領域番号 |
22K04994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
横山 啓一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (60354990)
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研究分担者 |
関口 哲弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (20373235)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | テラヘルツ波 / EOサンプリング / フラーレン / セシウム / ヨウ化セシウム / 同位体分離 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、量子ウォークによる同位体分離スキームの原理実証と基盤技術の開発を目指す。熱的な揺らぎや乱雑さに埋もれた微少な差異しかない混合物を如何にして高い秩序状態に分別するか、という根源的な問題への挑戦である。近年注目されている量子系特有の数理統計学的性質(量子ウォーク)を物理実装することにより、古典論では不可能に思えるこの問題に対して解決の糸口を見出そうとする試みと言える。本研究課題の補助事業期間内に、基本原理の実証としてテラヘルツ波による35Cl/37Clの同位体選択的塩化メチル回転分布移動実験及びフラーレン類によるセシウム回収原理実証実験に挑戦し、関連基盤技術の開発に資することを目指す。
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研究実績の概要 |
基本原理の実証研究では、同位体選択的回転分布移動の実証に向けテラヘルツ波発生照射システム構築を目指している。京都大学ナノハブ拠点の Cr:Forsterite フェムト秒レーザーシステムを利用して有機結晶OH1によるテラヘルツ波発生・波形計測および照射系を整備しているが、今年度は、実証実験の鍵を握る発生系・波形計測系の特性評価を実施した。EOサンプリング法による波形計測においてプローブ光を励起光と対向入射配置にしたところ、テラヘルツ波による偏光面の回転に加えて屈折率変化が波形計測に影響している可能性が示唆された。 現在結果を解析中である。 回収原理の実証研究では、フラーレンによるセシウム原子およびヨウ化セシウム分子の分別回収の実証を目指し、セシウム原子あるいはヨウ化セシウム分子を吸着・吸蔵した時のフラーレンの各種状態分析の手段を探求する。その一つとして蛍光分光の可能性を調べることとし、今年度、蛍光測定系の構築に取り組んだ。光パラメトリック発振器からのナノ秒波長可変レーザーパルスを蛍光測定セルに導入しファイバー分光器による蛍光スペクトル測定装置を製作した。また、 加熱時のフラーレン中でのセシウム原子およびヨウ化セシウム分子の挙動を調べるため、高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリーにおいてフラーレン薄膜上でのセシウム原子ヨウ化セシウム分子のアニーリング挙動を調べ、両者に顕著な違いを観測した。その成果を論文として発表した。その他にも光電子顕微鏡による空間分布変化の観察に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本原理の実証研究では、テラヘルツ波電場強度の評価技術が実証実験の成否を分けると考えており、基礎技術ではあるが十分な検討が必要である。回転分布測定系の構築に至っていないが、それに向けて順調に進んでいると考える。回収原理の実証研究では、実証装置の整備に向け必要となる分光分析法の検討を行うとともに、回収反応のしくみを理解するための基礎研究を継続した。実証装置の整備に向けおおむね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
基本原理の実証研究では、回転分布測定系の構築を目指してテラヘルツ波発生・照射系の整備を進める。回収反応の実証研究では実証装置の整備を目指して分光測定系の検討を進めるとともに光電子顕微鏡によるフラーレン薄膜上のCs/CsIの挙動の理解に努める。
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