研究課題/領域番号 |
22K04996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福田 大祐 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80647181)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 鉱物資源開発 / 破砕エネルギー効率向上 / 穿孔発破による岩盤破砕の高度制御 / 発破起砕物の物質移動の高度制御 / 多軸応力作用下での岩盤の複雑な破壊機構 |
研究開始時の研究の概要 |
鉱物資源開発における破砕エネルギー効率は現在も著しく低く,その向上は喫緊の課題である.この実現のためには,破砕工程最上流の穿孔発破による岩盤破砕と発破起砕物の物質移動の高度制御が必要条件となる.採鉱では,多軸応力作用下にある岩盤を発破により衝撃的に破砕するが,多軸応力作用下での岩盤の複雑な破壊機構には未解明な点が多く,本研究ではこれを高度に解析可能な破壊解析法を開発する.その上で,多軸応力下の影響を受ける発破問題に対して開発した解析法を適用し,発破起砕物内の微視/巨視き裂群の造成機構や発破起砕物の複雑な物質移動機構を解明し,鉱物資源開発における破砕エネルギー効率改善への寄与を目指す.
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研究実績の概要 |
昨年度の成果に基づき,本年度は,独自開発してきているCombined Finite-Element-Method(以下,FDEM)に基づいた岩石破壊解析システムと多軸応力下での岩石の衝撃載荷試験(以下,Multiaxial-SHPB)結果を用いた多軸応力下における岩石・岩盤の極めて複雑な動的破壊過程のシミュレーションに取り組み,その破壊機構に関して更なる検討をおこなった. まず,岩石・岩盤の強度特性が載荷速度に増加に伴い顕著な増加傾向を示すことはよく知られた事実であるが,多軸応力下での岩石の挙動の詳細な議論に先立ち,開発している3次元FDEMシミュレータを用いれば,多軸応力を考慮しない場合に関しては,開発中の解析システムにより数多くのベンチマーク解析(岩石の動的引張試験や不連続面を有した岩石の動的圧縮試験)を通して実現象を良好にモデル化することを確認した.この上で,衝撃載荷によるひずみ速度を同一にして,多軸応力作用パターンを1軸~3軸に変えた軸差応力下におけるMultiaxial-SHPB実験結果(砂岩)の3次元FDEMシミュレータによる再現解析に取り組んだ.この結果,軸差応力の影響を考慮しないこれまでの載荷速度依存性を組み込んだ破壊力学モデルに基づいた3次元FDEMシミュレーションの場合,定性的には実験結果を良好に表現できる一方で,シミュレーション結果は破砕度を過大評価(=バルクの岩石強度を過小評価)することがわかった.そこで,FDEMの破壊モデル(破壊物性の速度依存性)の試行錯誤的なキャリブレーション研究を行った結果,岩石が示すひずみ速度依存性の特性が軸差応力下では顕著に変化する可能性を確認した.この知見は,発破による岩石・岩盤の破砕エネルギー効率向上を考える上で極めて重要であり,より詳細な検証・モデル化が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定していた検討項目については,ほぼ計画通りに進行している.本年度の成果をまとめた論文を投稿中である. また,初年度の報告において研究の推進方策に挙げた,岩石の内部構造情報を詳細に模擬したデジタルロックモデル(Digital Rock Model, DRM)の構築関しては,3次元FDEMシミュレータに詳細なGrain-basedモデルを組み込むことで,DRMにおける内部構造情報が岩石の破壊過程に与える影響を3次元的に評価しており,国際学会において発表した.ここで構築したDRMは,高度フラクチャリング制御技術・破砕エネルギー効率に与える影響を評価する上で重要であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
上記で述べたように,多軸応力(軸差応力)下では,岩石の強度・破壊特性の載荷速度依存性が,多軸応力(軸差応力)を考慮しない場合と比較して顕著に異なる可能性があるため,追加実験を豪州で実施できるようであれば検討し,難しいようであれば現状のデータを更に精査し,開発シミュレータの高度化に取り組む.また,岩石の内部構造情報を詳細に反映したGrain-basedモデルに基づいたデジタルロックモデル(Digital Rock Model, DRM)のプロトタイプも導入でしたことから,各載荷速度・多軸応力のレベルに応じて,き裂(破壊)が,各種載荷条件下において,鉱物粒界や鉱物粒子内部にどの程度生成するかを含めた破壊機構の解明に取り組む.その上で,破壊エネルギ/入力エネルギ比に関する議論を高度に行うための,基礎的知見の集約に取り組む. また,初年度の報告で述べたように,現在開発しているGPGPUベースの大規模並列計算に基づいた3次元FDEMの計算能力の向上(GPUクラスタ利用への対応・実装)が極めて重要であることがわかったため,本年度はFDEMのうち,FEM部についてマルチGPU(GPUクラスタ)対応に取り組んでいる.今後は,DEM部のマルチGPU化に取り組む.また,発破における爆轟,岩盤破砕,さらには生成ガスの亀裂内移動などの複雑連成現象のシミュレータの開発にも昨年度に引き続き取り組んでいるが,爆源高圧状態を考慮した連成シミュレータの高度化にも取り組むことで,研究を更に高度化させていく.
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