研究課題/領域番号 |
22K04997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
大川 浩一 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (00375221)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 二酸化炭素 / 脱離 / 超音波 / アミン / CCS / アミン溶液 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、二酸化炭素(CO2)を吸収したアミン溶液に超音波を照射することで、低温にてCO2を脱離させることを目的とした研究である。超音波によるCO2の脱離は、無機炭素イオンの中で、溶存二酸化炭素(CO2(aq))に対して効果があり、CO2(aq)を速やかに気体のCO2として溶液外へ放出する。そこで、CO2吸収時にカルバメートイオンを形成せずに、無機炭素イオンの状態で吸収する第三級アミン溶液と超音波の組み合わせを検討する。さらに、超音波照射によるCO2の脱離速度の低下を抑制するために、吸収速度と脱離速度の差を利用して、CO2を流入しながら照射することでCO2脱離を促進することを検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は二酸化炭素(CO2)を吸収したアミン水溶液に超音波を照射することで、低温にてCO2を脱離することを目的とした研究である。前年度は、CO2を圧入(0.1- 0.5MPa, 17h, 20-25℃)した後のトリエタノールアミン(TEA)水溶液に、超音波を照射(28kHz)することで、溶存二酸化炭素(CO2(aq))の脱離が可能であることを明らかにした。本年度は、超音波の出力(溶液内に伝わるエネルギー)と脱離量の関係を調べた。また、5.0MのTEA水溶液 (200mL)に対してCO2を圧入(0.5MPa, 18h, 20-25℃)した後、超音波照射(28kHz, 200W)を20℃で60分行ったところ脱離率は62%と高い値を示した。ただし、照射40分以降は大きな脱離率変化がなく、これは照射により溶液中のCO2(aq)量が減少したことが一因と考えた。CO2を加圧吸収した溶液からCO2を超音波で脱離した後の、溶液中のCO2量は、大気圧下でTEA水溶液にCO2を流入し吸収平衡になったときの値よりも大きな値であったため、時間をかければさらにCO2が脱離すると考えられる。より短時間でCO2を脱離するためにCO2を大気圧下で流入(100mL/min)しながら超音波を照射することを検討した。超音波の音圧変化により流入したCO2気泡が膨張する際に周りの溶存CO2を取り込む効果、およびCO2気泡が収縮する際に気泡内が高温となり気泡付近のCO2溶解度が低下する効果が期待できる。予備実験として、第1級アミン水溶液に大気圧下で超音波照射をしながらCO2を流入した場合と、超音波照射せずにCO2を流入した場合の吸収量を比較したが、大きな変化は確認できなかった。第3級アミンでは、超音波を使用すると吸収量は低下した。これは、超音波照射下における第3級アミンのCO2吸脱着速度差が大きいためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二酸化炭素ガスをアミン水溶液に流入しながら超音波を照射するにあたって、どのくらいの流入量にすることで結果に違いが見えるのかを検討するのに時間がかかっている。また超音波照射下におけるCO2流入量の制御が難しく少し時間がかかっている。実験結果は徐々に集まってきているので、これらを解析しながら、研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
CO2を第3級アミン水溶液へ加圧吸収させた後に、超音波照射によりCO2(aq)を脱離し、その後脱離が平衡に近づいたところで、CO2を流入しながら超音波照射することで、室温において高い脱離率を得ることを検討する。CO2を流入しながら超音波を照射する効果として、超音波の音圧変化で流入したCO2気泡が膨張収縮し、CO2気泡が膨張する際に周囲の溶存CO2を取り込む効果、およびCO2気泡が収縮する際に気泡内が高温となり気泡付近のCO2溶解度が低下する効果が期待できる。また、第3級アミンのCO2の吸収速度と脱離速度に差を与えることができる。これら効果について、第1級アミン水溶液、第2級アミン水溶液と第3級アミン水溶液を比較することで明らかにする。
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