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カーボンニュートラルな液体燃料製造で必要な革新的Fe系FT合成触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05001
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
研究機関岐阜大学

研究代表者

隈部 和弘  岐阜大学, 工学部, 助教 (80456706)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードFT合成 / 鉄触媒 / オレフィン / 廃鉄釘 / パラフィン / コバルト / 亜鉛 / アルミニウム / 鉄 / 触媒 / カーボンニュートラル / BTL / 液体燃料 / Fe系触媒
研究開始時の研究の概要

本研究は,研究代表者が見出した新しい知見をもとに,これまで化学原料製造用に利用されてきたFe系触媒を利用し,PHVやHV車用燃料として飽和炭化水素が主成分となる安価なBTL用Fe系触媒の開発を行って,BTLプロセスの低コスト化・早期の実用化を実現し,カーボンニュートラル社会の実現に寄与する.そのために必要な「建築廃木材含有廃鉄釘をFe系触媒固定層として用いたFT合成メカニズムの解明」,「BTL用固定層Fe系FT合成触媒の開発」,さらには実用化を見据え「有機溶媒中に触媒を分散させたスラリー(有機溶媒+触媒混合)層反応器BTL用Fe系FT合成触媒の開発」を行う.

研究実績の概要

本研究の目的は,これまで化学原料用のオレフィンを製造するために用いられてきたFe系FT合成触媒を,FT合成においてパラフィンが主成分となるようにBTL用の安価なFe系FT合成触媒の開発を行い,BTLプロセスの低コスト化・早期の実用化を目指すことである.
昨年度は,実廃鉄釘腐食触媒には主成分のFe以外にZn,Si,Co,Al元素の酸化物が含有していることがわかり,このうちCoがFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズムに関与していることを解明した.
今年度は鉄釘腐食触媒に主成分のFe以外で含有しているCo,Zn,Al元素を助触媒として添加した数種類の物性の異なる模擬廃鉄釘触媒調製を試みた.調製された模擬廃鉄釘触媒を固定層として用いたFT合成実験を行い,生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズム,特に,「実廃鉄釘触媒のどの物性」が影響を与えているのかを解明した.
その結果,Co,Zn,Al助触媒添加で比表面積および全細孔容積は大きくなり,平均細孔径は小さくなることがわかった.いずれの調製した触媒もほぼ設定した化学元素モル比となっていた.昨年度用いた実廃鉄釘腐食触媒は反応開始30分以降でCO転換率が減少したが,今年度の模擬廃鉄釘触媒に関してはAl助触媒シリーズ以外,CO転換率90%以上を維持した.Co,Zn,Al助触媒を添加すると,高いパラフィン選択性を示した.
このように,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるのは含有しているCo,Zn,Al元素が助触媒として作用するためであることを解明できた.これにより,BTL用固定層Fe系FT合成触媒を開発することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は,(1)協力企業から入手した実廃鉄釘触媒の物性評価を行い,それを基に試薬から数種類の物性の異なる「人為的に作製した模擬廃鉄釘」の触媒調製を試みる,(2)調製された模擬廃鉄釘触媒を固定層として用いたFT合成実験を行い,生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズムの解明,特に「実廃鉄釘触媒のどの物性」が影響を与えているのかを解明する,という計画であった.その計画に対し,実際に,(1)実廃鉄釘触媒の物性評価を行い,主成分のFe以外にZn,Si,Co,Al元素の酸化物が含有していることがわかった,(2)実廃鉄釘触媒含有のCoがFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズムに起因していると考えられた.
今年度は,鉄釘腐食触媒に主成分のFe以外で含有しているCo,Zn,Al元素を助触媒として添加した数種類の物性の異なる模擬廃鉄釘触媒調製を行い,調製された模擬廃鉄釘触媒を固定層として用いたFT合成実験を行って,生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,昨年度に引き続き実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズム,特に,「実廃鉄釘触媒のどの物性」が影響を与えているのかを解明する計画であった.その計画に対し,実際に,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるのは含有しているCo,Zn,Al元素が助触媒として作用するためであることを解明できた.これにより,BTL用固定層Fe系FT合成触媒を開発することができたことから,おおむね順調に進展している,と評価した.

今後の研究の推進方策

今年度の研究成果を受けて,2024年度では有機溶媒中に触媒を分散させたスラリー(有機溶媒+触媒混合)層反応器BTL用Fe系FT合成触媒の開発を行う.触媒固定層FT合成反応は高いCO転換率となる長所はあるが,発熱反応であるために反応温度の制御が困難であることやワックス蓄積による触媒失活等の短所もある.BTLの実用化のためには,それらが改善できるスラリー層FT合成反応にBTL用Fe系FT合成触媒を適用させることが必要である.そのため,BTL用固定層Fe系FT合成触媒を基に,有機溶媒中で反応させることにより生ずる低転換率の改善ができるスラリー層反応器用Fe系FT合成触媒の開発を行う.触媒スラリー層FT合成反応器の設計・製造を行い,調製したFe系FT合成触媒をスラリー層として用いた実験から得られる生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,BTL用スラリー層Fe系FT合成触媒物性の最適化を行う.スラリー層内では触媒同士の衝突が起こるので,触媒強度維持化も実施する.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] EV・FCVの誤解と課題 ―バイオ燃料で真の脱炭素化―2023

    • 著者名/発表者名
      隈部和弘
    • 雑誌名

      中部経済新聞オープンカレッジ

      巻: 07月27日 ページ: 10-10

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 合成燃料―建築廃材,廃鉄くぎで製造―低コスト,CO2削減2022

    • 著者名/発表者名
      隈部和弘
    • 雑誌名

      ぜんせき

      巻: 8月1日 ページ: 3-3

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] バイオマスエネルギー~特にバイオ燃料に着目して~2024

    • 著者名/発表者名
      隈部和弘
    • 学会等名
      令和5年度未来の化学工学を創る会講演会と見学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] カーボンニュートラルな液体燃料製造で必要な革新的Fe系FT合成触媒の開発2023

    • 著者名/発表者名
      GUAN Menghan,HUA Enpei,隈部和弘
    • 学会等名
      日本エネルギー学会第19回バイオマス科学会議
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 岐阜大学 工学部 化学・生命工学科 物質化学コース 隈部研究室

    • URL

      https://www1.gifu-u.ac.jp/~morit_ap/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
  • [備考] 岐阜大学 工学部 化学・生命工学科 物質化学コース 隈部和弘

    • URL

      https://www.eng.gifu-u.ac.jp/busshitsu/staff/kumabe.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] reserchmap 隈部 和弘 (Kazuhiro Kumabe)

    • URL

      https://researchmap.jp/read0120649

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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