研究課題/領域番号 |
22K05007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
長瀬 慶紀 宮崎大学, 工学部, 教授 (90180489)
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研究分担者 |
友松 重樹 宮崎大学, 工学部, 助教 (30315353)
河村 隆介 宮崎大学, 工学部, 教授 (70234135)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 太陽熱 / 熱交換器 / 蓄熱粒子 / ビームダウン式太陽集光装置 |
研究開始時の研究の概要 |
蓄熱粒子を連続して太陽光で加熱するための蓄熱粒子流動型太陽光レシーバと,本研究で設計・製作する蓄熱槽を備えた熱交換器を接続して,太陽熱を利用した蓄熱粒子循環型熱交換システムを構築することを目的とする.熱交換器は,シェルアンドチューブ型でシェルの中を蓄熱粒子が移動しながら,チューブ内の流体と熱交換を行うものである.また,シェル内の空気に流れを与え熱伝達を促進するものである. 宮崎大学のビームダウン式太陽集光装置で実験を行い,その性能を十分に発揮するための運転条件を求める.
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研究実績の概要 |
宮崎大学に設置されているビームダウン式太陽集光装置によって集光した太陽光エネルギーを蓄熱粒子に熱(太陽熱)として蓄え,太陽熱を使って熱機関を動かすため,蓄熱粒子と熱機関の作動流体の間で熱交換を行う蓄熱粒子型熱交換システムを開発することを目的として,実験的研究を行っている.2022年度は,集光した太陽光を蓄熱粒子に照射し,加熱された蓄熱粒子を熱交換へ送り出すための粒子流動型レシーバとスクリューフィーダの設計・製作,ならびに熱交換器の基本構造と熱伝達の解析に使用するモデル実験装置の検討を行った. 製作した粒子流動型レシーバについては,非加熱の蓄熱粒子を使って流動実験を行い,想定通りの動きを確認した.すなわち,レシーバ容器の下中央に取り付けた粒子排出口からスクリューフィーダを使って粒子を少しずつ排出することで,粒子は太陽光を照射されながら,排出口に向かって順序よく流れていき,それを補うように容器外にある粒子のバッファから,粒子が補給されるという動きである.容器内の粒子の動きは重力によるものあるが,流動層は均一な厚さであった.流動層の一番下の粒子層を固定し,その上を加熱された粒子が移動することで,加熱された蓄熱粒子から容器に伝わる熱損失の低減を図った.また,製作したスクリューフィーダについても,加熱した粒子を排出できることを確認した.さらに,設計・製作した粒子流動型レシーバの特許を出願した. 熱交換器の設計において,シェルアンドチューブ型を採用し,シェル内を滞りなく粒子が移動するためにはチューブ間隔は蓄熱粒子の6倍程度をとればよいことを,モデル実験装置により実験的に確認した.高温の蓄熱粒子から熱機関の作動流体への伝熱現象を解析するために,熱交換器を単純化した二重円管モデルを製作し,スクリューフィーダによって外円管と内円管の間を粒子が移動することの動作確認を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,2022年度に,複数本のチューブでシェルアンドチューブ小型モデルを作り,蓄熱粒子の流動性を確認しチューブの配置を決定する,となっていた.製作した小型モデルは,粒子の流動を観察するために,シェルは透明アクリル板を使用し,チューブは実機と同様に熱伝導率の高い銅管を用いた.シェルの上方から蓄熱粒子を供給し,下方から排出するため,スクリューフィーダを取り付けた.当初の計画では.熱交換器へのスクリューフィーダの取り付けは2024年度としていたが,蓄熱粒子の流量制御を行うため,システムの組み立ての一部を前倒しで行った.小型モデルに非加熱蓄熱粒子を供給および排出する実験を行った結果,チューブの間隔が最も狭い部分が蓄熱粒子直径の6倍以上であれば,蓄熱粒子は,渋滞することなく,また,空洞を生じることもなくシェル内を流れ排出されることが観察された. チューブ1本分のシェルアンドチューブ単管モデルを作り,ヒータで加熱した蓄熱粒子を用い,チューブ内に空気を流して加熱する実験装置を製作した.また,蓄熱粒子の隙間に空気を流して加熱された空気からチューブに熱を伝える実験も行い,熱移動量が増加することを定性的に確認した.ただし,チューブの長さが1mと長いため,蓄熱粒子の温度分布を求めるための熱電対温度計測点数が不十分であったこと,蓄熱粒子間に流す空気を循環させず外に熱を逃してしまい急激な蓄熱粒子の温度変化を生じさせたことなどから,定量的な解析までには至らなかった. 以上の進捗状況より,おおむね順調に進展しているものと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
当初の2023年度以降の計画は,熱交換器の設計・製作および特性調査を行い,蓄熱槽を設計・製作することで,蓄熱粒子循環型熱交換システムの構成部品を完成させ,その構成部品を組み上げてシステムを完成させ,ビームダウン式太陽集光装置での実験を行うこととなっている. 2023年度は,熱交換器の設計・製作を行う.同時に,熱交換器の特性調査にあたって,単管実験装置を改良して,伝熱量の定量解析ができるようにする.単管実験装置の改良部分は,全長を短くし熱電対の計測間隔を短くすることと,蓄熱粒子間に流す空気を循環させる方法を確立することである.蓄熱粒子からチューブ内の流体への伝熱量と,粒子間を流れる空気の流速との関係を求めるため,蓄熱粒子を加熱し,改良した実験装置を用いて実験を行い,チューブ内の流体への熱伝達率を求める.一般化を図るため,チューブ内の空気流量を一定とした場合の,粒子間を通る空気とチューブへの熱伝達率との関係を,レイノルズ数とヌセルト数を用いた無次元数整理式で表現する.その後,単管実験装置から求めた無次元数整理式を,熱交換器の特性調査に利用する. 太陽光が強い時は,蓄熱粒子の温度を一定にした場合,レシーバで加熱される蓄熱粒子の流量が増える.しかし,熱交換器では一定流量の蓄熱粒子をシェル内に流動させる必要があるため,レシーバと熱交換器の間にバッファが必要となる.このバッファの役割を果たすのが蓄熱槽である.逆に,太陽光が弱いあるいは無い場合には,バッファ内の蓄熱粒子量が減り,熱交換器への蓄熱粒子の流量を一定に保つ役割を果たす.蓄熱槽の大きさは,ビームダウン式太陽集光装置の実験スペースに依存するため,熱交換器を設計後,決定する.
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