研究課題/領域番号 |
22K05009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
吉山 定見 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (80210780)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | アンモニア / イオン反応 / 質量分析計 / 燃焼 / 火炎 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化の観点から自動車エンジンをはじめとする多くの燃焼機器において燃料の脱炭素化が進められ,再生可能エネルギーから生成される燃料として,水素やアンモニアが検討されている.アンモニアは燃焼が不安定であり,消えてしまうと有毒なガスを放出してしまうため,実用化をするためには,安定した燃焼技術と万一,失火した場合にすぐに着火し,燃焼するような燃焼制御技術が必要となる.その中で燃焼をセンシングする技術の1つとしてイオンセンシングが検討されている.本研究ではイオンセンシングの測定原理を明らかにするため,アンモニア火炎中のイオン化学種を質量分析計を用いて明らかにする.さらにイオン反応機構を解明する.
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研究実績の概要 |
本年度はアンモニア空気予混合火炎中のイオン反応機構の構築を目的として,1次元予混合火炎の素反応計算をANSYS社のCHEMKIN-Proというソフトウエアを用いて実施した.アンモニアの反応機構にはOkaforらの反応機構を用いてH3O+,NO+, N+, O+の4つイオン化学種,13個のイオン反応式を導入し,さらにサハの式を用いて熱電離も考慮した.これらのイオン化学種の中でもNO+が最もイオン濃度が高くなること,熱電離したNO+のイオン濃度も高くなることがわかった.当量比が0.9~1.2の範囲で計算を行い,実験結果との比較を行った.イオン濃度およびイオン電流値が最大となる当量比は一致しなかった. 実験にはよどみ流を利用した平面火炎を,上述の計算にはCHEMKIN-ProのFlame speed modelを用いていたが,より実験条件に合わせるために計算モデルを Burner-stabilized stagnation flame modelに変更し,軸方向速度勾配の係数を火炎の定在位置が実験結果と一致するように設定して実施した.また,イオン化学種を先の4つの化学種に加えて8つのイオン化学種を追加し,イオン反応式は28個まで増加させた.以上の修正を加えることでより実験結果に近づけることができた.一方,イオン電流の計測方法についても水平方向にイオンプローブを移動させ,反応帯近傍,燃焼ガス,よどみ板に近傍の燃焼ガス中のイオン電流を測定することが可能となった.実験方法を以前の垂直方法から水平方向に変更することで,当量比とイオン電流値との関係は計算結果に近い傾向を示しており,イオン反応機構の妥当性をある程度確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質量分析計の故障のため,アンモニア火炎中のイオン化学種の同定についてはほとんど進展していない.現在,放電プラズマを生成させ,質量分析計の動作確認を実施ており,正常な動作確認が完了次第,メタン空気予混合火炎のイオン化学種の同定を実施する予定である. 一方,「アンモニア予混合火炎中のイオン反応機構の構築」については予定通りに進展しており,12個のイオン化学種,28個のイオン反応式を導入し,2種類の1次元反応計算モデルにて計算を実施し,当量比とイオン電流値との関係,各イオン化学種の濃度分布などを取得することが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度中には質量分析計を動作させ,アンモニア空気予混合火炎中のイオン化学種の候補となっている12個のイオンについて同定を行う予定である. 計画では「火花点火機関を用いたアンモニア予混合火炎のイオン電流特性」を計画していたが,火花点火機関を模擬した定積燃焼容器を準備しており,この燃焼容器内を伝播する火炎を用いてイオン電流特性を調査することを検討している.
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