研究課題/領域番号 |
22K05013
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
染川 正一 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部マテリアル技術グループ, 主任研究員 (20520216)
|
研究分担者 |
柳田 さやか 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部マテリアル技術グループ, 副主任研究員 (40579794)
立花 直樹 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術支援本部多摩テクノプラザ複合素材技術グループ, 主任研究員 (60633526)
今井 宏明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70255595)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 湿式ビーズミル粉砕法 / 酸素欠損酸化チタン / Ti3+導入 / 光触媒 / 海水分解 / 水素製造 / 酸素欠損型チタニア / ビーズミル粉砕 / 可視光応答光触媒 / 低エネルギービーズミル粉砕 / 触媒毒耐性 / 環境浄化(塩素系VOCが対象) / 水素製造(海水の分解による) |
研究開始時の研究の概要 |
太陽光を用いた実環境下での汚染物質分解処理や海水の分解による水素エネルギー製造技術の確立は、自然エネルギーによる地環境汚染やエネルギー需給逼迫の改善への貢献が期待されるが、塩素系触媒毒による活性劣化の課題がある。本研究では触媒毒の影響を受けやすい微量金属等の助触媒を用いない可視光に応答する酸素欠損型酸化チタン光触媒に注目し、極小ビーズを用いた低エネルギービーズミル粉砕法にて、酸素欠損導入時の還元処理の影響で生じた凝集粒子を破砕して再表面に露出する活性サイト数を大幅に増加させ、活性サイトの性状や触媒毒の影響等を解析しながら、高活性で触媒毒の影響を受けにくい可視光応答光触媒を開発する。
|
研究実績の概要 |
本内容は、0.5mm以下の微細なビーズを使用した湿式ビーズミル粉砕法にて、酸素欠損酸化チタンの活性サイトの増加及び活性発現メカニズムの解明、さらには海水分解による水素生成技術への展開を目的とした研究である。現在に至るまで以下①~⑥のような知見が明らかになった。
①還元処理にて作製した酸素欠損酸化チタンに対して、種々の条件で湿式ビーズミル粉砕を行った結果、特定の条件下において処理過程で粉砕に引き続き凝集作用が起こり、Ti3+が格子内に閉じ込められることでTi3+が安定して導入されることが示唆され、最適条件で光触媒活性が大幅に向上した。 ②用いるビーズ径を大きくすると凝集作用が優勢になり、比表面積が減少する一方でTi3+の導入量は増加することが分かった。なお、Ti3+が導入されるには、予めある程度の量の酸素欠損を酸化チタンに埋め込んでおく必要があった。 ③光触媒活性は用いたビーズ径で変化し、ビーズ径が0.3mmの時に犠牲試薬を用いた水分解による水素生成速度が市販の酸化チタンの15倍程度まで向上した。 ④光触媒反応において、可視光のみの照射では水分解による水素は検出されなかった。しかしながら、可視光と紫外線を同時に照射すると、紫外線のみの照射に比べて約9倍光触媒活性が向上し、Ti3+準位を介した700nm~近赤外領域の光吸収によって光触媒反応がアシストされている可能性が示唆された。 ⑤光触媒活性向上に有効な手段である助触媒担持については、ビーズミル粉砕時に0.5wt%程度の水酸化ニッケル粉末を添加することで、光触媒活性が約3倍増加することが分かった。 ⑥海水中の水と塩を分解を対象とした水素生成技術に関して、0.1%未満の微量のアルコールを添加することで塩化物イオンの酸化が促進されることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸素欠損酸化チタンに対して湿式ビーズミル粉砕法を適応することで、水分解光触媒活性が向上した。各種データを参照にしてメカニズムの考察を行いながら、材料の改良を進めている。開発した光触媒を用いて、海水分解による水素生成技術への応用展開にも着手した。
|
今後の研究の推進方策 |
実用化を視野に入れるためには、更なる性能向上が求められる。 助触媒担持による活性向上効果は顕著であるが、その効果を最大限生かすためには、元の光触媒本体の性能アップが必須である。今後は、本体の性能アップに向けて、以下①、②の取り組みを行う。
①欠損や活性サイトに対する粉砕処理の影響や関連性を調べて最適化を図る。 ②Ti3+と他元素種の同時ドーピングにより、現在有効に利用できていないと思われる400~600nm領域の可視光応答性付与による光触媒活性の底上げを図る。
|