研究課題/領域番号 |
22K05014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
宮崎 征行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 准研究副主任 (50399573)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 炭酸塩 / カルサイト / マリアナ前弧域 / 蛇紋岩 / 強アルカリ / 炭酸塩形成 / バイオミネラリゼーション / 高アルカリ環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は微生物機能に着目したバイオミネラリゼーションについての研究開発である。炭酸塩形成に関わる微生物の存在は一世紀以上も前から知られており、その微生物はどこにでも存在する微生物である。深海底にはマントルを形成するかんらん岩と地球活動により地殻内を移動する水が反応することで蛇紋岩を形成し、その湧水はH2、CH4、Mg2+、Ca2+に富み、海底表面に湧き出て炭酸塩でできた環境が形成される。しかしながら、深海の炭酸塩形成に関する微生物についての研究はほとんど行われていないため、環境微生物学と微生物培養学を掛け合わせて現場環境に生息する微生物の実態をとらえ、炭酸塩形成に関わる微生物材料の開発を行う。
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研究実績の概要 |
深海における炭酸塩形成に関する微生物についての研究は、サンプル採取の困難さからほとんど行われていない。そのため環境微生物学と微生物培養学を掛け合わせて現場環境に生息する微生物の実態をとらえ、炭酸塩形成に関わる微生物材料の開発を行うことを目的とした。 初年度は培養手法の検討と分離源となるサンプル採取について行った。まず深海に炭酸塩形成菌の存在を確認するため、過去に得られた深海堆積物やチムニーを植種源として使用した。培養手法は従来の方法を踏襲した高濃度カルシウム塩と尿素をベースとした寒天培地を作成した。植種源について約30種類を培養に用いたが、相模湾の冷湧水域から採取した堆積物から炭酸塩形成菌の存在が明らかとなった。このことから、深海底においても炭酸塩形成菌のポテンシャルが示唆された。 陸域にアルカリ温泉があるように、深海にもアルカリ湧水が湧き出ている場所が存在する。深海環境にも炭酸塩が形成する場が観察されている。太平洋のマリアナ前弧に位置する南チャモロ海山は、ブルーシストを伴う蛇紋岩泥火山が存在し、2001年に実施されたODP掘削により、山体の間隙水がpH 12を超えるアルカリ性であり硫酸を豊富に含むことが明らかにされた。2023年2月末から3月末に海洋研究開発機構所有船舶「かいれい」及び「かいめいROV」や着座式掘削装置を用いてマリアナ前弧域における海底泥のサンプリングに成功した。実サンプルを用いた培養は2023年度以降に行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画としては培地の検討並びサンプル採取が目的であり、炭酸塩形成菌の存在確認とマリアナ前弧海域からのサンプルリターンに成功した。このことから一定の成果が認められるため、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
マリアナ前弧海域から採取したアルカリ性蛇紋岩泥からの炭酸塩形成菌の分離を行う。方法としては、従来法の好気による寒天培地を用いた培養を行う。また、2022年度に立ち上げられなかった連続培養での培養を行う。分離源としてはアルカリ性の蛇紋岩泥や培養に成功した相模湾冷湧水などを用いる。また、X線回折法を用いた分析を行い、形成した炭酸塩について同定を行う。
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