研究課題/領域番号 |
22K05020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
鳥居 肇 静岡大学, 工学部, 教授 (80242098)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 分子間相互作用 / 画像解析 / 電子密度 |
研究開始時の研究の概要 |
水素結合系やハロゲン結合系など,凝縮相系における分子間相互作用と分子間構造形成および観測可能量(分光シグナルなど)の変化の相関に関わる事例について,電子密度解析の手法を用いて進めてきた理論研究の発展形として,分子間相互作用を空間分解的に捉えるための汎用的プロトコルを導くことができる可能性を追求する。そのため,典型的と考えられる事例のうち,これまでに扱わなかったものを対象に,追加的な解析を行ったのち,分子間相互作用の各因子に特徴的な電子密度変化を数百メガピクセルの画像パターンとして認識し類型化することにより,その解析プロトコルを導く。さらに,数理最適化の手法を援用して,この手法の自動化を図る。
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研究実績の概要 |
水素結合系やハロゲン結合系など,凝縮相系における分子間相互作用と分子間構造形成および観測可能量(分光シグナルなど)の変化の相関に関わる事例について,電子密度解析の手法を用いて進めてきた理論研究の発展形として,分子間相互作用を空間分解的に捉えるための汎用的プロトコルを導くことができる可能性を追求する。そのため,典型的と考えられる事例のうち,これまでに扱わなかったものを対象に,追加的な解析を行ったのち,分子間相互作用の各因子に特徴的な電子密度変化を数百メガピクセルの画像パターンとして認識し類型化することにより,その解析プロトコルを導く。さらに,数理最適化の手法を援用して,この手法の自動化を図る。 令和4年度においては,「典型的な事例の追加的解析」を進めるとともに,「電子密度変化の類型化」に向けた準備をおこなった。前者については,ハロベンゼンのさまざまな置換体(計48種の分子)を対象とした計算をおこない,ハロゲン結合供与分子に特徴的な電子密度の様相がハロゲン原子(Cl, Br, I)にどのように依存し,どのような置換基効果を受けるかを,明らかにした。後者については,典型的な水素結合受容官能基であるカルボニル基の,水との相互作用による分極に伴う電子密度変化を対象に,特異値分解の手法を用いた解析をおこない,各原子内(と見なすことができる空間領域内)の分極に由来する成分と分子内原子間の電荷移動に由来する成分の双方が確認できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,「典型的な事例の追加的解析」と「電子密度変化の類型化に向けた準備」の双方において,進展を得ることができた。前者については,ハロゲン結合系に特徴的な電子密度変化のハロゲン原子依存性と置換基効果について,解析を進めたところであり,その結果はChem. Asian J.誌に論文として発表した。後者については,2022年に論文として発表した水分子の分極の解析結果と比較し得る結果を,カルボニル基の分極を対象に得ることができたところであり,対象を他の官能基に広げるための手順が整ったといえる。このことから,「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
「典型的な事例の追加的解析」については,生体分子内において水素結合とハロゲン結合が混在する系など,さらに対象系を拡げることにより,電子密度変化の類型化のための基礎データを充実させる。そのうえで,水との相互作用による分極に伴う電子密度変化の類型化を,他の水素結合受容官能基についてもおこなうとともに,汎用的な解析プロトコルの確立に向けて解析を進める。
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