| 研究課題/領域番号 |
22K05025
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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| 研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
山本 典史 千葉工業大学, 工学部, 教授 (30452163)
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| 研究分担者 |
藤崎 弘士 日本医科大学, 医学部, 教授 (60573243)
上田 将史 北里大学, 理学部, 講師 (60778611)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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| キーワード | 凝集誘起発光 / 非断熱遷移 / 分子シミュレーション / 光機能性材料 / 大規模複雑系 / 三脚巴状分子 / 光化学 / 理論化学 |
| 研究開始時の研究の概要 |
凝集誘起発光(AIE)が発現する系は,分子が凝集するというシンプルな現象のもとで非断熱遷移が制御されて,その発光効率が高まるが,動的メカニズムの詳細は明らかではない。高次光機能性をもつ革新的材料であるAIE色素を合理的に設計・最適化するには,大規模かつ複雑である凝集系の非断熱遷移を巧みに制御する指導原理の確立が必要となる。本研究は,大規模複雑系の非断熱遷移ダイナミクスを効率的に捉える分子シミュレーション手法を開発し,分子がAIEを発現するに至るまでの動的な描像を捉えることで,非断熱遷移過程の制御という観点からAIEメカニズムの本質を明らかにする。
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| 研究実績の概要 |
本研究は、凝集誘起発光(AIE)において、分子凝集に伴う非断熱遷移ダイナミクスが発光効率を制御するメカニズムの解明と、その理解に基づく材料設計指針の確立を目指すものである。AIEは次世代光機能材料として期待されるが、大規模かつ複雑な凝集系における動的メカニズム解析は困難であり、詳細は未解明である。 令和6年度は、この課題に対し、AIE分子の非断熱遷移ダイナミクスを効率的に解析するための分子シミュレーション手法開発を進めるとともに、AIEを示す代表的な三脚巴状分子を対象とした具体的な解析に取り組んだ。時間依存自己無撞着電荷密度汎関数強束縛法を用いた電子状態計算と非断熱分子動力学シミュレーションを組み合わせることで、光励起後の緩和過程を原子レベルで詳細に追跡することに成功した。 さらに、シミュレーションで得られた大規模な構造データに対し、機械学習(ランダムフォレスト)による解析を適用した。特に、分子の対称性を考慮した新規の内部座標表現を導入することで、基底状態と励起状態のエネルギー差を高精度に予測できるモデルを構築した。この解析結果から、クマリン骨格における芳香環部位の特定の構造変化が、エネルギー差の近接に伴う非断熱的な無輻射遷移を誘発する主要因であることを明らかにした。 これらの成果は、非断熱遷移ダイナミクスという視点からAIEメカニズムの本質に迫る重要な知見であり、AIE分子の設計・最適化における基礎を確立するものである。本研究で得られた構造と非断熱遷移の相関に関する知見は、新たな高機能AIE材料を開発するための有効な設計指針を与えるものと期待される。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、当初の研究計画に基づき、おおむね順調に進捗していると判断している。 まず、大規模かつ複雑な凝集系における凝集誘起発光(AIE)の動的メカニズムを解析するための分子シミュレーション手法の基礎確立という点において、着実な進展が見られる。これにより、非断熱遷移ダイナミクスを効率的に捉えるための解析基盤の構築が進んでおり、AIEメカニズムの本質解明に向けた新たな道筋が示されつつある。 また、具体的なAIE色素への応用解析も計画通りに進展している。AIEを示すπ拡張型三脚巴状分子については、QM/MM自由エネルギー摂動法を用いた理論的な解析を行い、そのAIE発現メカニズムの一端を理論的に明らかにすることに成功した。さらに、Triske分子を対象とした詳細解析を実施した。時間依存自己無撞着電荷密度汎関数強束縛法と非断熱分子動力学シミュレーションを組み合わせることで、光励起後の非断熱緩和過程を追跡した。得られた大規模な構造データに対し、機械学習(ランダムフォレスト)と分子の対称性を考慮した新規内部座標表現を組み合わせた解析を適用し、励起状態からの無輻射遷移を誘発する主要因が、クマリン骨格芳香環の特定の構造変化であることを突き止めた。 これらの具体的な研究成果は、非断熱遷移ダイナミクスという観点からAIEメカニズムの理解を深めるものであり、AIE分子の設計・最適化における重要な基礎的知見を提供するものである。高機能AIE材料開発に向けた新たな設計指針を示すものとして、当初の研究目的に対して着実に前進している。 以上の状況から、本研究は計画通りに進行しており、現在までの進捗はおおむね順調であると評価できる。
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| 今後の研究の推進方策 |
これまでの順調な研究進捗を踏まえ、今後は以下の推進方策により、複雑なAIEプロセスに対する真の理解を深め、その合理的な設計・最適化に向けた新たな指針の提供を目指す。 まず、開発・確立しつつある非断熱遷移ダイナミクスの解析手法を更に発展させ、多種多様なAIE色素への適用を加速させる。異なる構造を持つ複数のAIE色素について分子シミュレーションに基づく理論解析を集中的に行い、共通するAIE発現メカニズムや構造-活性相関の普遍的原理の解明を目指す。特に、これまでに解析を進めた三脚巴状分子の知見を基に、類縁体の網羅的な理論解析を進め、新たな高性能AIE色素設計に向けた理論的指針を抽出する。 次に、この理論的指針に基づき、AIE色素の設計原理を構築し、実験グループとの連携を強化する。これにより、理論研究の成果を基にした新規AIE色素の合成検討を進め、理論と実験の有機的な連携を通じて、AIE色素の新規応用領域開拓を目指す。 また、代表的なAIE分子群であるジシアノスチルベン(DCS)誘導体をモデル分子として、非断熱遷移ダイナミクス解析手法に関する基礎研究も深化させる。非断熱遷移のより効率的かつ高精度な解析を実現するため、ニューラルネットワークポテンシャル力場とサーフェースホッピング法を組み合わせたアルゴリズムなど、新規シミュレーション手法開発にも積極的に取り組む。 得られた研究成果は、査読付き学術誌への論文発表や、国内外の学会での積極的な発表を通じて広く発信する。これにより、他の研究者からの有益なフィードバックを得て、研究の質と展開をさらに加速させる。 これらの推進方策を着実に実行することで、当初の研究計画の達成、ひいてはAIE研究分野の発展に貢献することを目指す。
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