研究課題/領域番号 |
22K05034
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
西山 嘉男 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (40617487)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 貴金属ナノ粒子 / 生成ダイナミクス / 過渡回折格子法 / プラズモニックナノ粒子 / 界面 / 時間分解分光 |
研究開始時の研究の概要 |
サイズや形状に応じて変化する、光をナノメートル領域で増強させるといった、特殊な性質をもつ金や銀(貴金属)のナノ粒子を自在に合成する上で、その生成機構の解明や制御は非常に重要である。本研究では、貴金属ナノ粒子が生成する過程を時間分解分光によってリアルタイムで観測し、それを固体液体間の界面で実現することで、ナノ粒子生成反応の変化を明らかにする。これにより、界面を利用した新しいナノ粒子合成反応につながる知見を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、金属ナノ粒子生成における新たな反応場として界面に着目し、その生成ダイナミクスを実時間観測することによって界面の持つ特異性がナノ粒子生成の反応場としてどのように機能するかを明らかにする。 界面ダイナミクス計測に先立ち、測定手法として用いる過渡回折格子(TG)法をバルク水溶液中の銀ナノ粒子生成反応に適用し、拡散係数の時間変化から中間体となる化学種や中間体の反応速度を調べた。ベンゾフェノンによる銀イオンの光還元後に起こる銀ナノ粒子生成過程をTG測定により観測した結果、還元によって生じた銀原子が会合過程を介して複数のカチオンクラスターを逐次的に生成することを明らかにした。さらに、その後の銀ナノ粒子生成過程は、流体力学直径2nm程度の微小ナノ粒子から起こることを明らかにし、銀ナノ粒子生成の核に類似したサイズの化学種を特定することに成功した。このカチオン性クラスターが関与する銀ナノ粒子生成速度は、溶液中のイオン強度を増大させることで促進され、保護剤となる配位子を加えた場合には配位子の種類によって促進・抑制されることを明らかにした。 また、得られるTG信号の時間変化の解析に、減衰時間の分布を得る方法として用いられる最大エントロピー法を導入し、TG法を用いて金ナノ粒子分散溶液における流体力学直径の分布を得ることに成功した。同様の解析法は過渡的に生成化学種のサイズが時間変化する信号にも適用できることが確認され、本質的にサイズ分散を伴うナノ粒子系に対して有効な解析法となることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
金属ナノ粒子生成の界面計測に関しては、微小領域である界面での光化学反応効率の低下から実現できておらず、次年度以降に取り組む課題である。一方で、バルクでの過渡回折格子測定から一連の銀ナノ粒子生成ダイナミクスを初期の還元過程からナノ粒子生成過程までを明らかにし、界面計測への基礎的な知見は固まりつつある。また、貴金属ナノ粒子のサイスを計測する上で有効となる解析法を新たに確立し、計画当初では予期していない成果が得られた。総合すると、計画全体の進行はやや遅れているが、次年度以降の取り組みにより改善できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
貴金属ナノ粒子の生成反応と比較して、格段に信号強度の大きな貴金属ナノ粒子の光誘起構造変化を検出する界面計測の実験を行い、界面計測法を実証するとともにバルクと異なる貴金属ナノ粒子の同定挙動の変化を秋らkにする予定である。
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