研究課題/領域番号 |
22K05037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
海野 雅司 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50255428)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 分子分光学 / 生物物理学 / 振動分光 / 光受容タンパク質 / 量子化学計算 / キラリティー |
研究開始時の研究の概要 |
ラマン光学活性分光はラマン散乱光の左右円偏光成分の差を検出する手法であり、キラルな分子を区別できる振動光学活性分光の一つである。我々は色素タンパク質のラマン光学活性スペクトルを前期共鳴条件下で観測することで、活性中心である発色団の歪みなどの立体構造情報を得ることができることを示してきた。本研究では本手法をさらに発展させ、従来では適用できなかった視物質ロドプシンや光反応中間体の構造決定を行う。
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研究実績の概要 |
申請者らはラマン光学活性分光(Raman optical activity、ROA)と呼ばれる分光法を光受容タンパク質のような色素タンパク質に応用してきた。本手法は活性中心である補欠分子の歪んだ構造など、他では得られない活性部位の立体構造情報を得ることができる。我々は、この独自開発してきた研究手法を生体分子科学の分野において広く使われる計測法として発展・確立させたいと考えている。この目的の達成のため、本研究では今まで適用することができなかった視物質ロドプシンや植物やシアノバクテリアの光センサーであるフィトクロム類への応用を可能にする1064nm励起のラマン光学活性分光装置、光反応中間体などへの応用を可能にする低温ラマン光学活性分光装置の開発ならびにその応用研究を実施する。 2023年度には、上記の1064nm励起のラマン光学活性分光装置および低温ラマン光学活性分光装置の開発に取り組んだ。1064nm励起のラマン光学活性分光装置の開発は終了し、標準試料のα-ピネンなどのラマン光学活性スペクトルの測定に成功した。本装置は1064nmの連続発振レーザーと自作の光学系、小型分光器ならびにInGaAs検出器から構成され、散乱円偏光方式を採用した光学系から構成される。今後は光受容タンパク質への応用研究を実施する計画である。 一方、低温ラマン光学活性分光装置では785nmの連続発振レーザーと自作の光学系、小型分光器ならびにCCD検出器からなる装置を組み立て、クライオスタットに取り付けた標準試料のラマン光学活性スペクトルを測定できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は申請者らが開発してきたラマン光学活性分光法をさらに発展させるため、2つの装置開発に取り組んだ。 1064nm励起のラマン光学活性分光装置については、1064nmの連続発振レーザーと自作の光学系、小型分光器ならびにInGaAs検出器から構成されるラマン分光装置を拡張し、散乱円偏光方式を採用した光学系から構成されるラマン光学活性分光装置を製作した。標準試料のα-ピネンについて、ラマン光学活性が観測されることを確認した。 2つ目の装置開発は低温ラマン光学活性分光装置の開発である。本装置は785nmの連続発振レーザーと自作の光学系、小型分光器ならびにCCD検出器からなる装置を組み立て、クライオスタットに対応する光学系となっている。既にクライオスタットに取り付けた標準試料のラマン光学活性スペクトルを測定できることを確認した。今後は低温下におけるラマン光学活性スペクトル測定を試みる計画である。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目(最終年度)である2024年度は開発した装置を活用した応用研究を実施することを目的とする。1064nm励起のラマン光学活性分光については、シアノバクテリアが示す補色順化のための光スイッチタンパク質であるシアの爆テリオクロムRcaEや、シアノバクテリアがもつ光センサータンパク質のフィトクロム(Cph1)、視物質ロドプシンを対象に、ラマン光学活性スペクトルの測定を目指す。またラマン光学活性スペクトルの測定後は分子動力学計算や量子化学計算によるスペクトル予測を行い、活性部位構造の精密構造解析を行う。 一方、低温ラマン光学活性分光装置では、低温でのラマン光学活性スペクトルの測定を試みる。 以上の研究から、日本発の新規分光技術の開発研究を推進する。
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