研究課題/領域番号 |
22K05042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
星野 翔麻 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 講師 (20783616)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | イオンイメージング / 単分子素反応ダイナミクス / 励起状態ダイナミクス / 光化学反応 / 化学反応動力学 / 分子分光学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、解離反応や異性化反応などに代表される単分子ダイナミックスを観測し得る新規分光法の開発を行うことを目的としている。二・三原子分子のような最も基本的な分子系を対象とし、高分解能レーザー分光法のエネルギー分解能とイオンイメージング手法の空間分解能を融合してその分子ダイナミックスを明らかにする。特に解離や異性化などの反応過程が起こり得る高エネルギー領域(高振動準位)を選択的かつ効率的に生成・検出し、フラグメントが自由に回転しているような、「解離の途中」の状態を可視化することにチャレンジする。
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研究実績の概要 |
反応中間体や反応生成物の量子状態分布を実験的に調べることは、化学反応ダイナミクスを解明する上で最も重要である。特に反応中間体の構造情報や、反応生成物の空間分布からは、反応のメカニズムに関する直裁的な情報を引き出すことが可能である。本研究課題では、高精度・高効率な量子状態の選択的励起と、イオンイメージング法の高い空間分解能を融合させ、気相分子の単分子反応ダイナミクスの実空間観測を行うことを目的としている。2023年度は昨年度に引き続き、ハロゲン化アシル、特に、ヨウ化アセチル(CH3COI)の紫外光誘起解離ダイナミクスを主対象とした研究を行なった。ヨウ化アセチルは200-300nmの紫外領域にn-π*遷移およびn-σ*遷移に起因する強い吸収を持つ。これら紫外吸収帯を光励起した際に観測されるI原子およびCH3ブラグメントのイオンイメージから、紫外光励起に伴ってCH3COI → CH3CO + Iの一次解離過程と、CH3CO → CH3+ COの二次解離過程が段階的に起こることを明らかにした。この解離過程は光励起によって強い結合が最初に切断されたのちに弱い結合が切断されるという従来の有機反応論(Norrish I型反応)とは異なるメカニズムである。現在、高精度な量子化学計算を行い、解離反応に関与する電子状態の特定や、従来の有機反応論との相違点を理論モデルから説明することを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、ハロゲン化アシルの紫外光誘起解離ダイナミクスを対象とした研究を行なった。その結果、紫外光励起によって強い結合が最初に切断されたのちに弱い結合が切断されるという従来の有機反応論(Norrish I型反応)とは全く異なるメカニズムを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度にはハロゲン化アシルに加えて大気化学的に重要な化学種であるCriegee中間体の紫外光ダイナミクスを対象とした研究を実施する予定である。また、高精度な量子化学計算を併用して行うことで、反応に関与する電子状態や反応メカニズムの詳細を調査することで、紫外領域における光解離反応過程の全貌を明らかにする。
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