研究課題/領域番号 |
22K05052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 康孝 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30634753)
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研究分担者 |
守友 博紀 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 講師 (30803548)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ナノシート / 物理化学 / 機能物質科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、グラフェンのように光吸収のあるナノシートの光操作の学理を導くことを目指す。まず、剥離したシートのコロイドが容易に得られる酸化グラフェン(GO)を試料に用い、光操作によるGOナノシート一枚一枚の位置・配向の制御を可能にする。明らかにしたGOの光操作技術を基盤として、機能性に富むナノマテリアルのユニット構造であるGOと異種ナノシートとのヘテロ構造の作製、またそれらの電子物性の解析、グラフェンをはじめとするGO以外のナノシートへの光操作技術の展開、を行う。
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研究実績の概要 |
研究代表者は、ナノシートの光マニュピレーションの先駆者である。本研究では、酸化グラフェンの位置と配向の自在制御に取り組んだ。電極材料として期待されているニオブ酸ナノシート、チタン酸ナノシートとの異種ナノシート積層体をナノシート同士の重なりを制御しながら生成することが可能であることを見出した。また、基板に堆積された状態の酸化グラフェンを液中から取り出すことが可能であることを明らかにした。グラフェンの酸化状態を反応条件を制御することで、酸素官能基の種類を制御した。黒鉛の鱗状結晶を、発煙硝酸を用いて酸化し、アンモニアで中和することで、酸素官能基の種類をエポキシ基のみにした、酸化グラフェンの分散液を得ることに成功した。合成した酸化グラフェンをX線蛍光分析によって分析した結果、目的とした官能基がエポキシ基のみの酸化グラフェンを合成できていることを確認した。また、酸化グラフェンの分散液の顕微鏡観察、また、光マニピュレーション挙動の調査も行なった。次に、Hummers法を用いた酸化グラフェンの合成にも取り組んでいる。また、光マニピュレーションを通した、酸化グラフェンのマイクロメートルスケールの位置制御を通して市販のマイクロメートルスケールに作られた櫛形2端子電極に酸化グラフェン単一層をデポジットすることに成功し、伝導率の測定を行なった。その結果、電極に堆積された状態の酸化グラフェン単一層は、伝導率が比較的高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究内容をまとめた投稿論文の作成を行い、材料系の雑誌に投稿を行なった。今のところ、リジェクトされて掲載には至っていないが、これからも掲載されるように論文のブラッシュアップと再投稿を行なっていく。また、昨年度までで明らかになった知見を用いて、今年度のテーマの目的、推進方向は明らかであるため、研究のさらなる進展を目指して研究を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
二端子法を用いた電気伝導率の測定の結果、酸化グラフェン単一層は絶縁体、半導体ではなく、比較的電気伝導率が高い物質であることが明らかになった。そのため、数マイクロメートルのスケールの微小領域で4端子測定を行わなければならないことがわかった。そのため、電子線リソグラフィーやマスクレス露光装置を用いた微細な電極作製を行うことで、酸化グラフェン単一層の電気伝導率の測定を、まず可能にする。単一層の測定を可能にした後、酸化グラフェンの積層数や積層の重なりによる電気伝導率の依存性を明らかにする。その後、Hummers法やBrodie法などの酸化グラフェンの作製方法による電気伝導率の依存性を明らかにしていく。また、その他、酸化物ナノシートやカルコゲンナノシートなど様々なナノシートとのヘテロ積層体の電気伝導率の違いを明らかにしていく予定である。
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