研究課題/領域番号 |
22K05056
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高井 和之 法政大学, 生命科学部, 教授 (80334514)
|
研究分担者 |
石黒 康志 東京電機大学, 工学部, 助教 (20833114)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | グラフェン / MoS2 / TaS2 / イオン照射 / 水素センサー / イオンビーム / 欠陥 |
研究開始時の研究の概要 |
層状物質の1層を単離した“2次元物質”は欠陥の存在が電気伝導,光学特性,化学反応等の機能性に大きな影響を与える.本研究では欠陥の局所化学構造が機能性に与える効果に着目する. イオンビーム照射によりモデル欠陥である単原子空孔を2次元物質について定量的に導入し,高純度ガスの導入で空孔の終端化学構造を制御しながら,電気伝導・発光の評価を行う.欠陥量と化学構造の両者を制御して欠陥の影響を評価する本研究により,2次元物質の欠陥エンジニアリングによる新規機能性材料の開拓を担保する学理を確立することを目指す.
|
研究実績の概要 |
本年度は前年度に実施・出版したグラフェンへのB+,N+イオンの照射による欠陥導入と化学修飾による伝導キャリアの符号,濃度,散乱の制御についての実験手法にもとづき,2次元物質へのスピン軌道相互作用の導入または変調を狙って,グラフェンおよび遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)の中でもスピン,軌道の自由度と発光に強い相関が知られている半導体であるMoS2へ重元素であるAu+およびI-イオンの照射を行い,Raman分光,電気伝導度の評価を行った.Au+,I-照射ではそれぞれ電子,ホールキャリアのドーピングが観測され,これらはRaman分光においても支持された.今後,Au+照射MoS2を中心にPLの測定を行うことにより,重元素導入効果を調べる.また,スピン反転プロセスを与えると期待されるFe+についてもMoS2に照射を行い円偏光PLの測定を開始した.さらに金属的2次元物質であるTaS2に対して予備的に水素吸着実験を行ったところ,CDW相転移を挟んで電気伝導への影響が顕著に異なることを見出した.これは以前確立した層数制御を通じたCDW相転移温度の制御と組み合わせることにより新たな原理にもとづく水素センサーが構築可能であること示しており,論文出版により結果を公表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TaS2へのイオン照射により導入した欠陥への分子吸着による欠陥化学構造の制御を行うための予備的な実験により,水素吸着による電気伝導への応答性がTaS2のCDW相転移により極端に変化することを予想外の結果として見出した.そのほかの計画についても順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
MoS2へのAu+,Fe+照射量を系統的に変化させて,電気伝導,円偏光PLへの影響を引き続き調べていく.また,計画されたTaS2のAr+照射により欠陥導入を行い分子吸着と組み合わせることによりCDW相転移温度の変調を試みる実験を実施する.
|