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中性子その場測定で解き明かすイオン性界面活性剤による流動抵抗低減効果の発現機構

研究課題

研究課題/領域番号 22K05058
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分32020:機能物性化学関連
研究機関一般財団法人総合科学研究機構

研究代表者

岩瀬 裕希  一般財団法人総合科学研究機構, 中性子科学センター, 副主任研究員 (70391266)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワード中性子小角散乱 / レオロジー / 界面活性剤 / 紐状ミセル / 流動抵抗低減 / 中性子散乱
研究開始時の研究の概要

ヒートポンプなどの循環水にイオン性界面活性剤を添加すると、その粘性特性により配管内の流動抵抗が大幅に減少する。これは二酸化炭素の排出量削減や省エネ化に直結する。イオン性界面活性剤が形成した紐状ミセルの構造は流動印加によって変化する。この構造変化が流動抵抗低減(DR)に関与していると考えられているが、詳細は不明である。本研究は、中性子を活用したその場測定により、流動中に起きる紐状ミセルの微視的な構造変化と巨視的な変化との因果関係を解析する。これらの構造と同時に圧力損失を測定し、紐状ミセルの構造変化とDR性能の関係を調べる。以上の結果に基づき、イオン性界面活性剤によるDR効果の発現機構を解明する。

研究実績の概要

ヒートポンプなどの循環水にイオン性界面活性剤を添加すると、レオロジー特性の変化により配管内の流動抵抗が大幅に低減することが知られている(流動抵抗低減)。これは、イオン性界面活性剤が溶液中で紐状のミセル構造を形成し、流動中に構造変化や凝集体形成が起こるが要因と考えられているが、そのメカニズムはまだ明らかでない。本研究では、中性子散乱測定により、流動中の紐状ミセルの微視的な構造変化と巨視的な凝集体形成を解析し、圧力損失測定の結果と比較することで流動抵抗の低減性能を支配する紐状ミセルの具体的な構造変化を明らかにすることを目指している。
2023年度には、前年度に設計を進めた中性子散乱測定用の試験装置を整備し、それを使用してカチオン性界面活性剤が水溶液中で形成する紐状ミセルの構造解析を行った。特に、流路内では速度勾配が生じることが知られているため、その影響を調べる必要があった。そのため、流路内の場所依存性を測定し、速度勾配の影響を調べた。その結果、速度の大きい部分では、紐状ミセルの配向度合いが高く、速度の小さい部分では、紐状ミセルがランダムに存在していることが分かった。また、流動速度の増加に伴うミセルの変化も異なる結果を得た。これらの配向度合いやミセルサイズの定量的評価を進めている。
また、界面活性剤だけでなく、棒状高分子を使用した測定も検討した。そのために、中性子小角散乱測定(SANS)、X線小角散乱測定(SAXS)、およびレオロジー測定を用いて評価を行った。
これらの測定で得られた成果の一部は国内の学会で発表された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、中性子実験を行い、マクロなレオロジー特性に影響を与えることが予想される流動速度に依存した紐状ミセルの構造評価を行うことができ、現在解析を進めている。また、2024年度に成果を発表できる目処が立っている。

今後の研究の推進方策

2023年度に測定した結果についての定量的解析を進める。さらに、温度や試料濃度などの条件を変えての測定や、界面活性剤す溶液以外の試料を用いた比較実験を行い結論を出すことを計画している。これらの成果は国内外の会議で発表し、査読付き論文としても公開する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Time-Resolved Structural Analysis of Fast-Photoresponsive Surfactant Micelles by Stroboscopic Small-Angle Neutron Scattering2023

    • 著者名/発表者名
      Iwase Hiroki、Akamatsu Masaaki、Inamura Yasuhiro、Sakaguchi Yoshifumi、Kobayashi Kazuki、Sakai Hideki
    • 雑誌名

      Langmuir

      巻: 39 号: 35 ページ: 12357-12364

    • DOI

      10.1021/acs.langmuir.3c01456

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] New measurement system based on small-angle neutron scattering for structural analysis of light-responsive materials2023

    • 著者名/発表者名
      Iwase Hiroki、Akamatsu Masaaki、Inamura Yasuhiro、Sakaguchi Yoshifumi、Morikawa Toshiaki、Kasai Satoshi、Oh-uchi Keiichi、Kobayashi Kazuki、Sakai Hideki
    • 雑誌名

      Journal of Applied Crystallography

      巻: 56 号: 1 ページ: 110-115

    • DOI

      10.1107/s1600576722011104

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] グリシンを対イオンに有する四級アンモニウム塩系ジェミニ型界面活性剤ミセルの中性子小角散乱による構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      王珊,岩瀬裕希,高田慎一,矢田詩歩,吉村倫一
    • 学会等名
      第74回コロイドおよび界面化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 中性子小角・広角散乱装置「TAIKAN」における調湿環境の開発 32023

    • 著者名/発表者名
      岩瀬裕希,有馬 寛,高田慎一,Aurel Radulescu
    • 学会等名
      2023年度量子ビームサイエンスフェスタ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Rheo-SANS 実験環境の高度化: シアセルの整備2023

    • 著者名/発表者名
      岩瀬裕希,森川利明,高田慎一
    • 学会等名
      2023年度量子ビームサイエンスフェスタ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 中性子小角・広角散乱装置「TAIKAN」における調湿環境の開発 22023

    • 著者名/発表者名
      岩瀬裕希、有馬 寛、高田慎一
    • 学会等名
      2022年度量子ビームサイエンスフェスタ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] SAXSおよびSANSによるアミノ酸-糖ハイブリッド界面活性剤の会合体の構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      長濱佑美、岩瀬裕希、矢田詩歩、吉村倫一
    • 学会等名
      2022年度量子ビームサイエンスフェスタ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 小角散乱を用いたグリシンを対イオンに有するジェミニ型カチオン界面活性剤の会合体の構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      王珊、岩瀬裕希、高田慎一、矢田詩歩、吉村倫一
    • 学会等名
      2022年度量子ビームサイエンスフェスタ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Stroboscopic SANS解析による高速光応答性界面活性剤ミセルの時分割構造解析2022

    • 著者名/発表者名
      岩瀬裕希、赤松允顕、稲村泰弘、坂口佳史、小林一貴、酒井秀樹
    • 学会等名
      第73回コロイドおよび界面化学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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