研究課題/領域番号 |
22K05064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
角田 貴洋 金沢大学, 物質化学系, 助教 (70746495)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | カチオン性ピラー[5]アレーン / ベントナイト / 層間挿入 / トリメチルアミン / イミダゾール / ナノシート / 環状化合物 / 超分子刺激 / 分子間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
厚さが数ナノメートルのシート状材料は、ナノシートと呼ばれ、小型化、省資源性の観点から注目される。有機物のナノシートは、電気や光特性における発展が期待される。ボトムアップな形成が利用できるが、均一構造形成が難しい。無機物のナノシートは、液晶性やガスバリヤ性を示す。無機積層体からトップダウン的に形成するが、すべての無機積層体の完全剥離は困難である。そのため有機と無機に対応する新たなナノシート形成技術が必要である。本研究では、有機と無機のナノシートの形成方法として、カチオン性環状化合物のホスト-ゲスト相互作用が生み出す超分子刺激を利用した、万能なナノシート形成システムを構築する。
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研究実績の概要 |
厚さが数ナノメートルのシート状材料は、ナノシートと呼ばれ、小型化、省資源性の観点から注目される。有機物のナノシートは、電気や光特性において単物質の性能を超えると示されている。ボトムアップ的な形成が利用できるが、均一構造形成の難しさから合成例が限られる。無機物のナノシートは、液晶性やガスバリヤ性を示す。無機積層体からトップダウン的に形成するが、すべての無機積層体の完全剥離は困難である。本研究では、有機ナノシートと無機ナノシートの形成方法として、カチオン性環状化合物のホスト-ゲスト相互作用が生み出す「超分子刺激」を利用した、ナノシート形成システム構築を目的とした。 これまで臭素末端の炭素数12の置換基を導入したピラー[5]アレーンを合成し、トリメチルアミンやイミダゾールによりカチオン化を試みた。その結果、対アニオンが臭素のカチオン性ピラー[5]アレーンが得られた。同様の手法を利用することで、アルキル鎖の炭素数が2、4、6、10のカチオン性ピラー[5]アレーンを合成した。イミダゾールを導入したピラー[5]アレーンは、対アニオンを交換することで融点の低下が確認された。 作成したカチオン性ピラー[5]アレーンとスメクタイト系のベントナイトを混合した。カチオン性ピラー[5]アレーンは、ベントナイト中の陽イオンと交換し、層間に挿入可能であった。アルキル鎖の長いピラー[5]アレーンにおいて効率よく挿入可能であった。これは、長いアルキル鎖が層間挿入時のエネルギーである毛細管力が働いたためと考えられる。これら挿入された量は、TGAにより測定し、挿入後のベントナイトは、X線回折により評価した。その結果、カチオン性ピラー[5]アレーン導入に伴い、層間距離が増大した。これは、層間に金属カチオンより大きいサイズのピラー[5]アレーンが導入したためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的である、有機化剤となるピラー[5]アレーンの合成に成功している。加えて、ピラー[5]アレーンを有機化剤として、ベントナイトの修飾に成功している。これらは、クレイ層間での構造制御を目的とする本研究において、重要な条件であり、初年度に可能となったことで、層間利用の可能性を見出せたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
アルキル鎖の異なるピラー[5]アレーンの合成が可能であったことに加え、カチオンの種類が異なる有機化剤が合成できた。これら有機化剤を利用し、層間距離の制御および層間での材料の配列を試みる。層間におけるピラー[5]アレーンのホスト-ゲスト相互作用を利用するため、高い会合定数を有するゲスト分子を層間挿入後に導入し、積層構造の変化を試みる。さらに、有機化剤として新たにピラー[6]アレーン構造のカチオン体合成を行い、層間挿入の挙動を観測する。
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