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カチオン応答性分子フォトダイオードを指向したシクロファン分子ワイヤの創製と評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K05065
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

迫 克也  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90235234)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード分子フォトダイオード / シクロファン / 分子ワイヤ / カチオン応答性 / 光誘起電子移動
研究開始時の研究の概要

多様性や低環境負荷等などの優れた特性から、従来のシリコン系無機デバイスに代わる単一分子デバイスと成りうる有機化合物が盛んに研究されている。将来的に現在の無機系固体エレクトロニクスに代わって、単一分子デバイス(導線、スイッチ、整流器等)を用いた単一分子エレクトロニクスが人類の情報技術を支えていることが予想される。本研究では、単一分子エレクトロニクス素子として、カチオン応答性高機能分子フォトダイオードを目指し、新奇なシクロファン分子ワイヤを創製する。合成した新奇なシクロファン分子ワイヤの物性評価を行い、光誘起による整流性を調べ、カチオン応答性の違いにより整流性が制御されるかについて明らかにする。

研究実績の概要

本研究の目的は、単一分子エレクトロニクス素子として、①カチオン応答性高機能分子フォトダイオードを指向した新奇なシクロファン分子ワイヤを創製し、②その物性評価を行い、光誘起による整流性を調べ、カチオン応答性の違いにより整流性が制御されるかについて明らかにすることである。
2023年度は、ピレンの置換位置によるドナーとの電子的相互作用の違いについて評価するために、1-ピレニル基とは別に光増感部(P)として2-ピレニル基(2-pyrene)を組み込んだ [3.3]パラシクロファン架橋部にドナー部(D)として1,4-ジチアフルベン(DTF)を組み込んだD-B(P)-D三元系シクロファン(DTF-B(2-pyrene)-DTF)を合成した。ピレンとドナーとの距離による物性の違いを調べるために、シクロファン架橋鎖に導入するDTFドナーを1つとしたD-B(P)-one二元系シクロファン(DTF-B(1-pyrene)-one)も合成した。
DTF-B(2-pyrene)-DTFの第1酸化電位がピレン基を有しない母体のDTF-B-DTFよりも低電位シフトしたものの、DTF-B(1-pyrene)-DTFよりもシフト値が小さく分裂しなかったことから、ピレンの置換位置によってDTFドナーのエネルギー準位を変化させ、DTFドナーの酸化過程の段階的制御やDTFドナーのドナー性制御も可能であることを示唆している。
DTF-B(1-pyrene)-oneの発光スペクトル測定では、DTF-B(1-pyrene)-DTFやDTF-B(2-pyrene)-DTFのような完全な消光は起こらなかったことから、ピレンの光誘起によってピレンと遠隔に位置するDTFドナー間で光誘起電子移動していることが明らかになり、ピレンを光誘起電子移動部位としてシクロファンに組み込んだ光誘起電子移動分子ワイヤの可能性が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

光増感部(P)としての2-ピレニル基(2-pyrene)を組み込んだ新規なD-B(P)-D三元系シクロファン分子(DTF-B(2-pyrene)-DTF)の合成に成功し、光増感部(P)としての1-ピレニル基と[3.3]パラシクロファン架橋部のDTFドナー間に光誘起電子移動が存在することが明らかになった。また、シクロファン架橋鎖に導入するDTFドナーを1つとしたD-B(P)-one二元系シクロファン(DTF-B(1-pyrene)-one)も合成した。
シクロファン分子ワイヤの合成には至らなかったが、シクロファン分子ワイヤの重要な合成中間体として、カチオン応答性部(SG)として4-ピリジル-フェニル基(4-Py-Ph-)を導入し、2つのDTFドナー部を組み込んだ新規なカチオン応答性配制御機能を有するD-B(SG)- Dシクロファン(DTF-Bis(4-Py-Ph-)-PCP-DTF)の合成に成功した。また、シクロファンダイマーの合成の予備実験として、段階的合成ルートと一段階合成ルートの2通り合成ルートで成功している。

今後の研究の推進方策

シクロファンダイマーの合成の予備実験として、tetrathiapentalene-thione(TTP-thione)のような反応性ドナー部(reactive D)を経由する段階的合成ルートと一段階合成ルートの2通り合成ルートで成功しているので、シクロファンダイマーの合成法を再検討して、目的とするカチオン応答性配制御機能を有するD-B(P)-D-B(SG)-D三元系シクロファンダイマーを合成する。シクロファンダイマーの合成ルートを組み合わせてシクロファン分子ワイヤの創製に着手する。
また、シクロファンダイマーの蛍光分析による光誘起電子移動評価及び、カチオン添加の外的刺激を変化させた電気化学的測定、吸収スペクトル測定及びESR測定によりカチオン応答性機能について明らかにする予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (12件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Syntheses of diaza[1.1.1] and [1.1.1.1] paracyclophanes by smiles rearrangement2023

    • 著者名/発表者名
      H. Takemura, M. Wakamatsu, H. Murakami, T. Iwanaga, K. Sako
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters

      巻: 130 ページ: 154762-154762

    • DOI

      10.1016/j.tetlet.2023.154762

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 2-メトキシピリミジンを有する金属配位性BenzoTTFドナーの合成と物性2023

    • 著者名/発表者名
      森美穂子, 谷文都, 五島健太, 塩塚理仁, 迫克也
    • 学会等名
      第33回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 1, 4 -ジチアフルベンドナーを組み込んだ4 -ピレニル[3. 3]パラシクロファンの合成と物性2023

    • 著者名/発表者名
      横山完貴, 加藤有土, 中野克哉, 岩永哲夫, 渡邊源規, 塩塚理仁, 迫克也
    • 学会等名
      第33回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 1,4-ジチアフルベンドナーを組み込んだ二元系4-ピリジル[3.3]パラシクロファンの合成と物性2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木颯斗, 土屋美香子, 岩永哲夫, 渡邊源規, 塩塚理仁, 迫克也
    • 学会等名
      第33回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] チオフェンスペーサーにより架橋されたDTFドナーを組み込んだ[3.3]メタシクロファンダイマーの合成と物性2023

    • 著者名/発表者名
      加藤冴花, 平井康寛, 中村光児, 岩永哲夫, 渡邊源規, 塩塚理仁, 迫克也
    • 学会等名
      第33回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 1,4 -ジチアフルベンドナーを組み込んだ三元系[3.3.3](1,3,5)シクロファンの合成と物性2023

    • 著者名/発表者名
      杉浦桃子, 千賀健三, 岩永哲夫, 渡邊源規, 新名主輝男, 迫克也
    • 学会等名
      第33回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] モノジチアフルベニル-1-ピレニル-[3.3]パラシクロファンの合成と物性2023

    • 著者名/発表者名
      横山完貴, 加藤有土, 中野克哉, 岩永哲夫, 渡邊源規, 塩塚理仁, 迫克也
    • 学会等名
      第16回有機π電子系シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] TTP及びDTFドナーを組み込んだ新規なパラシクロファン三元系の合成と特性2022

    • 著者名/発表者名
      柴田 拓実, 恩田 寛之, 千賀 健三, 岩永 哲夫, 塩塚 理仁, 迫 克也
    • 学会等名
      第32回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ジフェニルアミン部位を組み込んだ新規なBenzoTTFドナーの合成と物性2022

    • 著者名/発表者名
      中久木 崇人 , 谷 文都, 五島 健太, 塩塚 理仁, 迫 克也
    • 学会等名
      第32回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ピレンを組み込んだ新規な三元系[3.3]パラシクロファンの合成と物性2022

    • 著者名/発表者名
      横山完貴, 加藤有土, 中野克哉, 岩永哲夫, 渡邊源規, 塩塚理仁, 迫克也
    • 学会等名
      第32回基礎有機化学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ピリミジンを有する金属配位性BenzoTTFドナーの合成と物性2022

    • 著者名/発表者名
      森美穂子, 塩塚理仁, 迫克也
    • 学会等名
      第49回典型元素化学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] トリフェニルアミノあるいはジフェニルアミノ基を有するBenzoTTFドナーの合成と物性2022

    • 著者名/発表者名
      中久木 崇人, 谷 文都, 五島 健太, 塩塚 理仁, 迫 克也
    • 学会等名
      第15回有機π電子系シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] チオフェンユニットを組み込んだ[3.3]パラシクロファンの合成と物性2022

    • 著者名/発表者名
      柴田 拓実, 古澤勇太, 塩塚 理仁, 迫 克也
    • 学会等名
      第15回有機π電子系シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 名古屋工業大学研究者データベース

    • URL

      https://researcher.nitech.ac.jp/html/166_ja.html?l=ja&k=&o=title&p=5

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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