研究課題/領域番号 |
22K05068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村藤 俊宏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40253140)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アズレン / 双極子 / 典型元素 / π局面 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、歪んだπ共役系分子の構造と光物性が注目されている。これらの分子の構成単位となる芳香族化合物には、主にベンゼン系化合物が用いられている。一方、アズレンは非交互共役系炭化水素に分類され、芳香族共鳴安定化エネルギーが交互共役系のベンゼン系炭化水素に比べると極めて小さいため、置換基効果などの電子的な摂動を受けやすい。したがって、このような電子特性を持つアズレン骨格を湾曲分子の構成単位として用いると、その電子構造がどのように変化するか興味が持たれる。本研究では、アズレンの珍しい電子構造に着目して様々な典型元素を配置させたお椀型分子を合成し、分子の性質を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度はまず種々のハロアズレン誘導体のリチオ化反応を用いて、湾曲分子の骨格となるニクトゲン前駆体を合成し、X線結晶構造解析により結晶構造と分子構造を明らかにした。それぞれのアズレニル基のπ平面が互いに直面しないように中心原子と炭素原子間の結合が適度に回転してアズレニル基が互いに捻れた配置を取っていることがわかった。また、超原子価ニクトゲン化合物への誘導も検討した。次に、様々な求電子試薬を用いて前駆体分子のアズレン骨格間の架橋による共役系の拡張を検討した。中心原子と炭素原子間の結合が切断される副反応が進行し、用いる求電子試薬や反応条件、およびアズレニル基に導入した置換基によってその割合が変化した。一方、もう一つの展開として、ジアズレニル骨格を有するボリン酸誘導体のホウ素原子上でのアリール基導入反応を、様々な有機金属試薬を用いて検討した。反応に用いた塩基がホウ素原子に配位することと、置換反応生成物の安定性がアズレン骨格の置換基効果に大きく左右されることがわかった。さらに、リチオ化配向性基と架橋ユニットの両方の役割を兼ね備えた置換基を導入したアズレン誘導体を合成し、リチオ化の検討とホウ素ならびにニクトゲンの導入を検討した。リチオ体の発生を重水素化実験で確認した。ホウ素導入反応が進行し、目的のボリン酸が生成するが、単離精製中に分解するものがあるため、今後はこれらの化合物を安定化するための方法を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
湾曲分子の前駆体となる典型元素化合物の合成と単結晶X線構造解析に成功した。また、目的分子の合成を達成するための合成計画の目処が立った。以上により、上記区分に該当すると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
立案した合成計画に沿って目的分子の合成を速やかに達成し、分子構造を単結晶X線構造解析により明らかにするとともに、物性を評価する。
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