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0価2配位炭素化合物をC1源とする炭素中心6核金(I)錯体の合成

研究課題

研究課題/領域番号 22K05072
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
研究機関日本大学

研究代表者

藤井 孝宜  日本大学, 生産工学部, 教授 (00283060)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードカルボン / 0価2配位炭素化合物 / 多核銀(I)クラスター / 多核金(I)クラスター / 0価2配位炭素 / C1源 / 金(I)クラスター
研究開始時の研究の概要

本研究は,0価2配位炭素化合物であるカルボンの中心炭素をC1源として活用し,種々の中性配位子を有する炭素中心の6核金(I)クラスター([(C)(AuL)6]2+)を合成することを目的とする。このクラスターは,センシングやバイオイメージング等における潜在的な用途があるため,非常に興味が持たれている。本研究計画は,カルボンのC1源としての新たな用途を開拓するものであり,その研究成果は金属クラスター研究の発展に大きく寄与することが期待できる。

研究実績の概要

本研究は,カルボンと呼ばれる化合物群に着目し,このカルボン炭素をC1源として活用し,6核金(I)クラスター([(C)(AuL)6]2+)を合成することを目的とする。
本年度は,ナフタレンを母体とする1,8-ナフチルビス(スルファン)カーボン(0)(1)を用いて,本研究課題について検討した。カルボン1を低温下で発生させ,過剰量の[O(AuPPh3)3]Xと反応させることで,少量ではあるが,[C(AuPPh3)6]2Xを得た。その生成機構を調べるべく,カルボン1の2核金(I)錯体[(AuPPh3)2(1)]2Xの合成を,AgX存在下でカルボン前駆体1・Hと過剰量の[Au(PPh3)]Xを反応させたところ,目的の2核金(I)錯体のみが得られず,幾つかの生成物が得られることが分かった。そこで,この反応について,精査したところ,次に示す興味ある知見が得られた。
① カルボン前駆体1・Hと当量のAgXを反応させることで,4つのAg(I)イオンによる平面4核銀(I)錯体[Ag4(1)4]4X(2)が得られることがわかった。
② 4核銀(I)錯体2のトランスメタル化反応を試みたところ,[AuL]X試薬の配位子LをホスファンPPh3,スルファンSMe2及び,カルベンIMeにすることで,トランスメタル化生成物に変化をもたらすことが分かった。特に,PPh3やSMe2のような比較的安定な配位子を有する金(I)錯体を反応に用いると,平面4核金(I)錯体[Au4(1)4]4X(3)が得られ,(3) IMeを反応に用いると,当量により,単核[Au(1)IMe]X及び,多核錯体([Au2(1)IMe2],[Au2Ag(1)2IMe2]3X)が得られることが分かった。
今回,得られた3及び4核錯体は,はじめての合成例であり,6 核金(I)クラスターの中間体であることも考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本計画では,申請者らが合成した2価硫黄配位子を有するカルボンをC1源として活用し,金原子間相互作用に基づく炭素中心6核金(I)クラスターを合成する。具体的には,① 本研究の準備で合成したビス(フェニルスルファン)カーボン(0)の2核金(I)錯体([C(AuPPh3)(SPh2)2]2X)を用いて,[Au(PPh3)]Xまたは,[O(AuPPh3)3]Xと反応させることで,目的の[C(AuPPh3)6]2Xの合成を試みるとともに,合成条件の最適化とその生成機構を明らかにする。② ①の最適条件を基に,種々の中性配位子(L)を有する[C(AuL)6]2Xを合成する。③ S(II)配位子を有するカルボンの簡便な合成方法を構築し,C1試薬としての有用性を高めることを計画している。
これまで,[C(AuPPh3)(SPh2)2]2Xと[O(AuPPh3)3]Xと反応させることで,目的の6核金(I)クラスターの合成に少量ながら合成することに成功している。また,S(II)配位子を有するカルボンの簡便合成方法として,1,2-フェニルビス(フェニルスルファン)カーボン(0)と1,8-ナフチルビス(フェニルスルファン)カーボン(0)の合成を3又は4段階で合成することに成功し,これまで9段階が必要であったカルボン合成を,大きく短縮することが出来た。さらに,上述で述べたように,6核金(I)クラスターの生成機構の鍵化合物となるような,新規な多核金属イオンクラスターを種々の反応を検討することで得ることに成功した。現在までに得られた研究成果を基に,本研究の標的化合物である6核金(I)クラスターを効率良く合成するための反応条件とその生成機構を解明する。

今後の研究の推進方策

「研究実績の概要」で述べたように,1,8-ナフチルビス(フェニルスルファン)カーボン(0)(1)を用いて,平面4核銀(I)錯体[Ag4(1)4]4X(2)を合成し,更に4核銀(I)錯体2のトランスメタル化反応から,金(I)試薬の配位子の違いにより,平面4核金(I)錯体[Au4(1)4]4X(2)や混合型の[Au2Ag(1)2IMe2]3X(3)が得られることが分かった。
今後の研究の推進方策としては,
① 6核金(I)クラスターの生成機構の鍵化合物となるような,多核金属錯体の単離を試みる。混合型多核金属錯体3は,4核銀(I)錯体2と2当量の[AuIMe]Clとの反応で中程度の収率で得られている。この錯体の生成は,金(I)試薬としてカルベンを配位子するときに得られているので,カルベンに嵩高い置換基を有する金(I)試薬を用いて,4核銀(I)錯体2との反応を試みる。また,② 炭素中心の6核金(I)クラスターの生成ルートして,平面4核金(I)錯体3を用いた反応を試みる。具体的には,錯体3と,種々の配位子を有する[AuL]Xとの反応を試みる。その他,③ S(II)配位子を有するカルボンとして,ビフェニリレン骨格を有するビススルファンカーボン(0)を合成し,6核金(I)クラスター合成試薬としての有用性を検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Synthesis and structure of N-acetyliminosulfane-stabilized
carbone C(SPh2NC(O)Me)22022

    • 著者名/発表者名
      Noguchi Keiko、Suzuki Yuuta、Umeda Michiaki、Fujii Takayoshi
    • 雑誌名

      Arkivoc

      巻: 2023 号: 5 ページ: 21-29

    • DOI

      10.24820/ark.5550190.p011.890

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 1,8-ナフチルビス(スルファン)カーボン(0)を配位子とした4核銀(I)錯体の合成, 構造および反応性2024

    • 著者名/発表者名
      塚本玲奈・野口桂子・藤井孝宜
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会(2024)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ヘテロ原子安定化カルボンとその金属錯体2023

    • 著者名/発表者名
      藤井孝宜
    • 学会等名
      第50回有機典型元素化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 1,8-ナフチルビス(スルファン)カーボン(0)とN-ヘテロサイクリックカルベンを 有する金錯体の合成と構造2023

    • 著者名/発表者名
      塚本玲奈・野口桂子・藤井孝宜
    • 学会等名
      第50回有機典型元素化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 1,3-ジフェニル-1H-ジベンゾ[d,f][1,3]ジチエピン-1-ニウムの合成と反応性2023

    • 著者名/発表者名
      梅岡 舞・松村 優花・野口 桂子・藤井 孝宜
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会(2023)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 1,3-ジフェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,3]ジチオール-1,3-ジイウムとPh3PAuCl との反応2022

    • 著者名/発表者名
      藤巻拓巳・栗林恵・野口桂子・藤井孝宜
    • 学会等名
      第49回有機典型元素化学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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