研究課題/領域番号 |
22K05073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
和泉 博 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20356455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 立体配座 / ディープラーニング / タンパク質 / 超二次構造 / 分子構造コード化 / 薬剤耐性菌 / IUPAC命名法 / 機能性有機分子 / SARS-CoV-2 / 分子構造コード化構造検索 / 三次元記述子 / 生体分子 |
研究開始時の研究の概要 |
所望の機能を入力することにより、改良案を提示するディープラーニング分子構造設計を実現するための研究開発を行う。機能を反映する生体分子三次元記述子を開発し、ペプチド、タンパク質分子の側鎖、RNA分子ディープラーニング解析システムを構築する。得られた知見を活かして、求める機能にあわせた適切な有機フラグメントの絞り込みを行い、有機高分子材料や創薬などの目的別有機フラグメント三次元記述子を開発する。その開発に不可欠な有機フラグメントの比較に使用する、分子立体配座構造の記述の国際規格化に向けた研究を進める。
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研究実績の概要 |
1)生体分子ディープラーニング解析システムの開発 カンジダ・アウリス感染症は、米国の疾病管理センターから2016年に緊急の脅威として警告された新興真菌感染症である。2023年に日本においても多剤耐性菌の事例が報告されたことから、カンジダ・アウリスの立体配座可変性解析を優先して行った。 Saccharomyces cerevisiaeのフルコナゾール(FLCZ)耐性について、X線結晶構造と分光学的データからアミノ酸変異による結合親和性は同等であり、見かけ上表現型との相関が見られないと報告されていた。立体配座可変性予測では、野生型において変異サイトはリジッドであり、変異によりフレキシブルになることが示され、表現型とよい相関を示した。分光学的データでは、FLCZの結合による吸光度変化がY140F、Y140H変異において野生型と比べて2-3倍小さくなることが示されており、この差分が観測できないフレキシブルなコンフォメーションに対応し、薬剤耐性に寄与しているものと示唆された。 FLCZを含むアゾール耐性とは対照的に、エキノキャンディン耐性においては、変異によりフレキシブルからリジッドになる予測結果が得られ、解析からカスポファンギンが不競合阻害に関与することを明らかにした。Eagle効果について、通常、反転濃度は最小発育阻止濃度(MIC)の倍数として示されるが、カンジダ・アウリスの系では薬剤耐性と区別できないほどMICのばらつきが大きく、野生型の変異サイトがフレキシブルであることが一因であると考えられた。 さらに、タンパク質立体配座可変性予測を広く活用してもらうために、アミノ酸配列の立体配座可変性をカラー表示可能にする機能を加えた、関連するSSSCPredsとSSSCviewをホームページ上に公開するとともにペプチドに対応可能なPepPredsを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度構築した、ディープニューラルネットワークを用いたSSSCPredsの予測結果を立体配座可変性予測マップに変換するプログラムを用いて、米国の疾病管理センターから緊急の脅威として警告されたカンジダ・アウリスの立体配座可変性解析を行った。これにより、これまで解明できていなかった多剤耐性の機構に新たな知見を与えた。その結果が論文として認められ、実社会に活用可能であることを示せたことから、達成度として①と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
カンジダ・アウリス薬剤耐性に関する研究を優先した関係から、1)生体分子ディープラーニング解析システムの開発に関して、RNA分子の3D記述子の開発を行うとともに、ディープラーニングに必要な因子の精査を進める。
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