研究課題/領域番号 |
22K05084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
狩野 直和 学習院大学, 理学部, 教授 (00302810)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | リン / ホウ素 / 縮環構造 / リンイリド / ホスフィンイミド / カゴ型化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
分極したリン-ホウ素結合が三次元立体骨格の中に組み込まれた化合物の性質は多くの点が未解明である。本研究ではリン-ホウ素結合をもつカゴ型構造を合成し、その性質を明らかにする。スピロ環状超原子価リン化合物から縮合環構造への変換反応を利用して段階的に次元を拡張するという手法を用いることで、リン-ホウ素結合を機軸とする新しい三次元構造体を構築する。小分子の活性化や、遷移金属錯体の配位子への展開を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、リンとホウ素という特色ある二つの元素を三次元骨格内で結合するように組み込んだ化合物を合成し、その特性と機能性を明らかにすることを目的にしている。そのために一次元のリン-ホウ素間結合から出発して、二次元の縮合環平面構造へと展開し、さらに三次元のカゴ型構造へと段階的に次元を拡張していく手法を採用し、カゴ型骨格構造の構築を進めた。はじめに、スピロ環状超原子価リン-ホウ素間結合をもつ化合物からの二重環拡大を含む骨格変換反応を活用して、塩基性の強い縮合環型ホウ素置換ホスフィンを合成した。そのリン原子上の修飾をおこなうことで、カゴ型骨格を構築するための足掛かりとした。具体的にはホウ素置換ホスフィンに対して種々のアルキルハライドを作用させた後、リンのα位の炭素上を脱プロトンすることで、ホウ素置換リンイリドを合成した。11B NMRおよび31P NMR測定によってスペクトル的性質を明らかにし、リン-ホウ素間結合が一連の反応において保持されていることが確認できた。さらに、ホウ素置換リンイリドの窒素類縁体であるホスフィンイミドの合成を検討した。ホウ素置換ホスフィンとアジドとの反応の結果、対応するホスフィンイミドは生成せずに、窒素置換ホスホランが生成することを見出した。反応条件の検討の結果、窒素置換ホスホランの効率的な生成のためにはアジドを2当量用いることが必要であり、反応機構においてアジドが二つの役割を担っていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リン-ホウ素間結合を含むカゴ型化合物の合成の足掛かりとして、縮合環骨格構造をもつホウ素置換リンイリドを合成することができたため、おおむね順調に進展していると言える。また、ホウ素置換ホスフィンとアジドとの反応によって窒素置換ホスホランが生成するという結果は当初予期していなかったが、ホスホランの新規な合成方法として興味深い知見を見出せたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
合成した縮合環骨格構造をもつホウ素置換リンイリドの反応性を明らかにした上で、カゴ型骨格構造の構築へと展開する。さらに、縮合環型ホウ素置換ホスフィンのリン原子上のアリール化を検討した上で、対称なカゴ型骨格構造の構築に利用する。
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