研究課題/領域番号 |
22K05090
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
菅 博幸 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (60211299)
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研究分担者 |
戸田 泰徳 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (60758978)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 逆電子要請型不斉付加環化 / 有機触媒 / 環状ニトロン / ヒドロキシスチレン / 計算化学 / 遷移状態 / 1,3-双極性付加環化反応 / 逆電子要請型付加環化 / 有機分子触媒 / 二官能性触媒 / 不斉合成 |
研究開始時の研究の概要 |
不斉1,3-双極性付加環化は、光学活性ヘテロ5員環を合成する上で極めて有用な反応であるが、1,3-双極子-LUMO、親双極子剤-HOMOの相互作用による逆電子要請型反応において、有機分子触媒を用いた例は限られている。キラルなアミン-ウレアを触媒として、ニトリルオキシドとヒドロキシスチレン類との反応が高い選択性で進行することを明らかにしている。本研究の目的は、逆電子要請型反応において、1,3-双極子および親双極子剤に関する適用範囲を拡充し、本方法論を確立することであり、次の4項目を検討する。1) 1,3-双極子の拡充、2) 計算による機構解明、3) 親双極子剤の拡充、4) より活性な触媒系開発
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研究実績の概要 |
キラルなアミン-ウレア存在下での逆電子要請型不斉付加環化反応において、親双極子剤として2-ヒドロキシ-3-メトキシスチレンを用い、1,3-双極子の適応範囲拡充を目指した検討を行った。1,3-双極子として6-位や7-位に電子求引基や電子供与基を有する種々の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン由来の環状ニトロン誘導体を用い、100 mol%のアミン-ウレア存在下、35 ℃の条件で反応させると、ほぼ80後半から90% eeのエナンチオ選択性で単一のジアステレオマーのexo-付加環化体が良好な収率で得られることを明らかにした。無置換および電子求引基が置換した誘導体では、0 ℃の条件で反応させると、90% eeを超えるエナンチオ選択性を達成することができた。また、触媒量を30 mol%に低減させても、大きくエナンチオ選択性が低下することなく概ね良好なエナンチオ選択性で、付加環環化体を得ることが可能であった。1-位にアルキル基が置換した誘導体では、反応性が低下し、100 mol%のアミン-ウレア存在下、80 ℃の条件において低収率で付加環化体を与えたが、エナンチオ選択性は良好であった。親双極子剤に関する検討においては、100 mol%のアミン-ウレア存在下、テトラヒドロイソキノリン由来の環状ニトロンと2-ヒドロキシスチレンの付加環化反応は、良好なエナンチオ選択性を示すが、3-および4-ヒドロキシスチレンでは、大幅にエナンチオ選択性が低下することを明らかにした。 100 mol%のアミン-ウレア存在下、親双極子剤としてメルドラム酸を用い、テトラヒドロイソキノリン由来の環状ニトロンとの反応において、良好なエナンチオ選択性でイソオキサゾオリジノン誘導体を与えることも明らかにした。現在、最適条件を見つけるべく検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キラルなアミン-ウレア存在下での逆電子要請型不斉付加環化反応において、親双極子剤として2-ヒドロキシ-3-メトキシスチレンを用い、1,3-双極子の適応範囲拡充を目指した検討では、電子求引基や電子供与基を有する種々の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン由来の環状ニトロン誘導体に関して、いずれも良好なエナンチオ選択性ならびにジアステレオ選択性で付加環化体を与えることを見出し、種々の環状ニトロンに対する基質一般性を示すことができた。一方、対応するヒドラゾノイルクロリドより系中で発生させるニトリルイミンを1,3-双極子とする反応では、キラルなアミン-ウレア存在下、2-ヒドロキシ-3-メトキシスチレンのヒドロキシ基がヒドラゾノイルクロリドと反応した副生成物を与えることが問題となり、収率良く付加環化体を得ることができず、付加環化体においても望む不斉誘起を達成することが困難であった。また、1,3-双極子としてC,N-環状アゾメチンイミンを用いる検討には至っていない。 DFT計算に関しては、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン由来の環状ニトロンと2-ヒドロキシ-3-メトキシスチレンとの付加環化における遷移状態構造の計算を完了しており、キラルなアミン-ウレア存在下での不斉誘起の二重活性化メカニズムを明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
100 mol%のアミン-ウレア存在下、親双極子剤としてメルドラム酸を用い、テトラヒドロイソキノリン由来の環状ニトロンとの反応において、良好なエナンチオ選択性でイソオキサゾオリジノン誘導体が得られることも明らかにしており、早急に収率良く目的物を与える最適条件を見出したい。その後、アルキル化したメルドラム酸の誘導体に関する基質一般性の拡充を目的として、不斉イソオキサゾオリジノン誘導体合成におけるジアステレオ選択性ならびにエナンチオ選択性について検討する予定である。 メシトニトリルオキシドと2-オキソヘキサン酸t-ブチルのアミン-ウレア存在下での付加環化反応では、エノール化後の想定したC=Cでの付加環化は起こらず、C=Oで反応した付加環化体が20% eeと僅かながら不斉誘起を伴って得られることを見出している。そこで、ニトリルオキシドの1,2-ジカルボニル化合物に対するC=Oでの付加環化へのより高いレベルの不斉誘起を目指した検討を行う予定である。 1,3-双極子としてC,N-環状アゾメチンイミンを用いる検討には至っておらず、次年度以降検討する予定である。
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