研究課題/領域番号 |
22K05095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植竹 裕太 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (10755440)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | X線吸収スペクトル / 有機金属錯体 / 均一系触媒 / 装置開発 / 3d遷移金属L吸収端 / 溶液系 / 触媒反応メカニズム / 均一系触媒反応 / 放射光 |
研究開始時の研究の概要 |
放射光X線を用いた先端分光分析を均一系触媒反応のメカニズム解析に適用することで、これまでブラックボックスであった触媒反応の中間体を分光学的に決定する。特に、パラジウムやロジウムといった触媒として広く用いられている3d,4d遷移金属について、電子と強く相互作用するL核からの電子遷移に着目し、触媒活性と電子状態の相関を半定量的に明らかにする。また、それを実現するための機器開発を合わせて推進することで、他の金属・非金属系にも広く使える基盤を構築することで、当該分野の発展に貢献する。
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研究実績の概要 |
X線吸収スペクトル(XAS)は、元素の電子状態(価数、対称性)や周辺構造(隣接する原子間距離、配位数)といった化学情報を得ることができる強力な分光分析手法であり、産学問わず広く用いられている。我々はこれまで、X線の透過性が高く測定が簡便な硬X線領域の溶液XAS分光法の高度化に取り組んできており、その成果を報告してきた。本研究は、透過性が低く、溶液の測定が比較的難しいものの、触媒活性の鍵となるd軌道の電子状態を明らかにできる軟X線領域の溶液XAS 分光の高度化を目指すものである。 2023年度は、2022年度から実施してきているテンダーX線領域における溶液XAS測定を行うための汎用溶液セルの開発を行った。いくつかの試作品を作成し、最終的に今年度の12月に完成した。本溶液セルは、PTFE製の筐体、FFKMのOリング、窒化ケイ素膜から構成されており、いずれも有機溶剤耐性の高い部材を用いている。実施例として可塑性の高いTHFを溶媒として用いて液漏れ試験を行ったところ、液漏れによる重量減少などは観測されなかった。実際にRh L3吸収端およびPd L3吸収端のXAS測定をPF BL9Aに設置されているデフォルトセットアップで行ったところ、測定室内での干渉は起こらず、またライトル検出器、SDD検出器のいずれを用いても問題なくXASスペクトルを取得することができた。このように2023年度はテンダーX線領域のXAS測定の基盤技術構築を完了することができた。 またこれを用いて、過去に開発した"ロジウム触媒を用いるチオエステルのホウ素化反応"のRh L3吸収端XAS測定を行ったところ、中間体として3価のロジウム種が生成していることを明瞭に示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度の達成目標である分光セルの開発を達成し、またそれを用いた中間体解析まで実施することができたことから、当初の研究計画における達成目標はほぼ達成できたことになる。そのため、当初の計画よりも早い進度で進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
テンダーX線XAS用の溶液セルが開発できたので、研究計画書に記載の通り、2024年度はカチオン性パラジウムの電荷の解析に適用していく。また開発した溶液セルを用いた共同研究も適宜進めていく予定である。
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