研究課題/領域番号 |
22K05096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
上條 真 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00359548)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 炭素-水素結合官能基化 / 酸素官能基化 / 芳香族ケトン / 光反応 / ナフチル基導入 / 分子変換反応 / 炭素ー水素結合 / 極性官能基化 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の有機合成化学的手法により変換可能な飽和炭素-水素(C-H)結合は主として、酸性度をもち脱プロトン化が可能な、イオン反応を適用できるものに限定されている。一方、炭素骨格に含まれる酸性度をもたない飽和C-H結合へはイオン反応を適用することはできないため、その変換は困難である。そこで本研究では、酸性度をもたず、低反応性を示すC-H結合の一工程官能基化法の開発を進める。特に、創薬研究などにおいて、分子の機能発現に重要な役割を果たす極性官能基の新規導入法の開発を目指す。さらに、C-H結合切断化剤の高活性化や反応の触媒化などに取り組むことで、反応の効率化を狙う。
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研究実績の概要 |
有機化合物の合成を高効率化しうる反応として、酸性度をもたない低反応性C(sp3)-H結合の官能化に着目し、新しい分子変換法の創出を目指し研究を推進している。 電子求引基の隣接により酸性度をもち、塩基による脱プロトン化が可能なC-H結合に対し、酸性度をもたないC-H結合は結合の分極が小さいため、脱プロトン化による求核的な活性化を経て求電子剤を作用させるイオン反応を適用し官能基化することは困難である。酸性度をもたない低反応性C(sp3)-H結合の自在な官能基化法の確立は、化合物の入手を迅速化する斬新な分子修飾法の提供に加え、効率性に優れる新しい分子構築法の提案に繋がる。しかしながら、低反応性C(sp3)-H結合を官能基化する一般化な手法は確立されていない。 これまでに我々は、高エネルギー状態にある光励起した芳香族ケトンを作用させると、温和な条件下、これら低反応性C-H結合がラジカル切断されることを見出している。そこで、イオン反応と相補的な分子変換法として、ラジカル化学を基盤とする低反応性C-H結合の官能化法の提供を目指し研究を進めている。 本年度は、ラジカル捕捉剤として多用されるTEMPOが酸素ユニット前駆体として利用できることに着目し、酸素官能基の一工程導入法の開発に取り組んだ。その結果、アルカンC-H結合、ベンジル位C-H結合、酸素・窒素原子隣接位C-H結合など、一般的に反応性に乏しいと考えられている幅広い出発物に対して酸素官能基の直接導入に成功した。得られた生成物は、還元によりアルコール、酸化によりケトンに誘導可能であり、アルコール等価体として合成利用できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルカンやアルキルベンゼン、エーテル、含窒素化合物といった安価な原材料から、合成汎用性に富む、より利用価値の高いアルコール等価体を一工程でする手法を確立し、その成果を論文としてまとめ公表に至ることができたため
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、置換型のC-H官能基化により、一工程導入反応で導入可能な官能基を探索することで、低反応性C(sp3)-H結合を直接官能基化法の拡張を図る。
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