研究課題/領域番号 |
22K05099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長光 亨 北里大学, 薬学部, 教授 (90300756)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 全合成 / Fusaricide / 位置選択的なヨード環化反応 / ラジカル環化反応 / フロピリドン / ピラノピリドン / 2-pyridone 型 / 4-pyridone 型 / 不斉全合成 / フサリシド |
研究開始時の研究の概要 |
興味深い生物活性と複雑な構造を有するフロピリドンやピラノピリドン骨格を有する天然アルカロイド類の過去の全合成において、不斉全合成やピリドン骨格の位置選択的な合成が達成できていなかった。そこで、申請者は本アルカロイド類を網羅的に全合成するために鍵となる位置選択的ヨード環化反応を新しく開発し、フロピリドン骨格を有する天然アルカロイド類(citridone A や CJ-16,170)の不斉全合成に世界で唯一成功した。引き続き、申請者が独自に開発した位置選択的なヨード環化反応の基質適応性をさらに拡大し、本反応を鍵反応としたピラノピリドン骨格を有する天然アルカロイド フサリシドの不斉全合成を目指す。
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研究実績の概要 |
Fusaricide の不斉全合成研究に着手するため、1年目は申請者が開発した位置選択的なヨード環化反応の基質適応性の拡大を検討した。5位にヨード基を有し、3位にアリル基やホモアリル基を有する 4-hydroxy-2-pyridone 体を合成して、ヨード環化反応を試みた。その結果、期待通り塩基の有無により、位置選択的に 2-pyridone 型や 4-pyridone 型のピラノピリドン骨格を構築することに成功した。そこで今年度は実際に全合成研究に着手した。申請書の合成計画に従い、既知の光学活性なアルコールを大量合成し、炭素鎖の増炭反応、エポキシ化、cis選択的なα,β-不飽和エステル合成を進めることにより、重要中間体の合成に成功した。その途中、cis-α,β-不飽和エステルの合成の際に、一箇所不斉点がエピマー化を起こすという予期しない問題を抱えたが、種々検討した結果、解決に成功した。続いて、鍵反応の一つである Ti(III) 種を用いたラジカル環化反応を試みたところ、申請者が予備実験の際に得られていた立体選択性を大きく上回る高い立体選択性(dr = >10:1)で目的の立体化学を有する環化体の合成に成功した。この結果は、申請者が事前に期待していた通り、炭素鎖の立体障害を増大させることにより、反応中の遷移状態における立体障害の影響が大きくなり、望む遷移状態を経て反応がしたためと推定される。現在本鍵反応の詳細を精査しており、最適化後、全合成の達成に向けて研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、研究は進んでいる。本結果は、位置選択的なヨード環化反応を鍵反応としたピラノピリドン骨格を有する天然アルカロイドfusaricide の不斉全合成にとって非常に有用な知見であり、是非本目的を達成したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Fusaricideの全合成研究を進める。現在大学院生1名と共に研究を進めており、上述のように鍵中間体であるラクトン体の合成までを達成している。今後は、1年目に得られた知見を応用して、位置選択的なヨード環化反応を試み、fusaricide の不斉全合成を達成していきたいと考えている。今後の推進方策として、進行が芳しくない場合は、学生の増員により、当初の期間内に本研究が完結するようにしていくことも考えている。
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