研究課題/領域番号 |
22K05101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
山中 正浩 立教大学, 理学部, 教授 (60343167)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 分子触媒 / 触媒設計 / エナンチオスイッチング / エントロピー支配 / DFT計算 / 立体選択性 / サイト選択性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、様々な化学変換を可能とする金属触媒部位に水素結合ドナーを適切に配置した柔軟なキラル側鎖を付与することで、反応部位特異性と立体的多様性を併せ持つ分子触媒を開発する。具体的には、不斉共役付加反応、不斉ホウ素化反応などを対象として、高立体選択性の実現のみならず、類似の反応性を示す官能性基質との分子間・分子内競争反応における反応部位特異性、反応溶媒などの外部環境に応答する立体選択性の自在制御を達成する。また、GRRM/AFIR法を用いて選択性に関与する遷移状態を特定し、選択性発現の要因を解明するとともに、円二色性(CD)とDFT計算の連携により触媒の構造変化や応答性を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、様々な化学変換を可能とする金属触媒部位に水素結合ドナーを適切に配置した柔軟なキラル側鎖を付与することで、反応部位特異性と立体的多様性を併せ持つ分子触媒を開発する。独自の設計がもたらす触媒機能として、不斉共役付加反応において溶媒に依存したエナンチオ選択性の反転を見出している。さらに、不斉ホウ素化反応への展開も進めている。本年度は、主に不斉共役付加反応について精査し、円二色性(CD)や不斉配位子の置換基効果などに基づき、溶媒制御型のエナンチオ選択性の反転に対して、①C2対称な触媒構造が可逆的に変化すること、②触媒の不斉空間の構築には不斉点へのBn基の導入が有効であること、③末端Ar置換基にはウレア部位の酸性度を高めるために電子求引基の導入が有効であることなどの実験的根拠を得た。さらに、不斉ホウ素化反応については、理論計算を先導的に用いて設計した新規不斉配位子を用いることにより、エナンチオ選択性を大幅に向上させることに成功した。また関連研究として、キラルリン酸-パラジウム触媒による不斉CH活性化反応について理論的検討を行い、エナンチオ選択性の発現要因について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の水素結合供与部位と柔軟構造を有する独自の不斉分子触媒を用いることで、高エナンチオ選択性を達成するだけでなく、不斉共役付加反応における溶媒制御型のエナンチオ選択性の反転を見出した。さらに、不斉ホウ素化反応の開発へと展開し、エナンチオ選択性を向上させることに成功している。これらの成果は、理論計算との緊密な連携のもとに見出されており、研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに、水素結合供与部位と柔軟構造を有する独自の分子触媒を用いて、不斉共役付加反応、不斉ホウ素化反応を開発し、どちらも80~90% ee程度のエナンチオ選択性を達成した。次年度は、不斉共役付加反応については基質一般性の精査とともに、溶媒依存的なエナンチオ選択性の反転現象については、実験的検討に併せて理論計算との連携によって溶媒制御型のエナンチオ選択性の反転について解明し、その分子像を明らかにする。また、不斉ホウ素化反応については、反応温度の上昇に伴ってエナンチオ選択性が向上することが見出されているため、反応の制御因子について精査する。さらに、開発している分子触媒を空気酸化反応などにも応用を進め、最終的には、外部環境に応答して反応部位特異性や立体的多様性を示す分子触媒を開発し、その合理的設計指針を確立する。
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