研究課題/領域番号 |
22K05104
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
武藤 雄一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (50453676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アレーン錯体 / クロム / ホウ素 / π配位 / アレーン交換 / C-H官能基化 |
研究開始時の研究の概要 |
単純な芳香族化合物(アレーン)が持つC-H結合の直接官能基化は理想的ではあるが、非常に困難な反応の一つである。これまでアレーン基質に結合させた配向基を利用する基質依存の活性化法によりアレーンのC-H官能基化が達成されてきた。この方法は、配向基を持たない単純なアレーン基質には適用できない。 本研究では、従来の配位性官能基を利用する活性化とは大きく異なる、単純アレーンの一般的なC-H官能基化の戦略を生み出すことが目的である。
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研究実績の概要 |
重要なステップであるクロムカルボニル前駆体錯体[Cr(η6-arene precursor)(CO)3]とアレーン基質との交換反応を、C-H官能化に必要な反応条件下で検討した。o-キシレン (1a) を用いるアレーン交換/C-H ホウ素化をモデル反応として、[Cr(CO)3]前駆体と アレーン基質との交換とC-H官能基化レーン交換の条件とC-Hホウ素化反応自体の条件のバランスをとることに焦点を当て、どちらも効率良く進行する最適条件を明らかにすることを目的とした。アレーン交換できるクロム錯体の存在下で、化学量論量の1a と B2(pin)2 の反応を調べた。まず、アレーン交換が速いと知られているクロムナフタレン錯体[Cr(np)(CO)3](np = ナフタレン)を用いた。前年度に見出したホウ素化条件では、あまり収率が良くなかったが、確かにアレーン交換ののち、ホウ素化を進行させることに成功した。収率の向上を目的に添加剤を調べた結果、ここではフッ化カリウムが効果的であった;クロムナフタレン錯体存在下、1aとB2(pin)2を反応させ酸化的脱メタル化をしたところ、良好な収率でホウ素化生成物が得られた。このとき、少量のホウ素化されたナフタレンも生成した。このナフタレン配位子のホウ素化を防ぐために、1,5-および2,6-ジメチルナフタレン錯体を前駆体として用いたが、大きな改善は見られなかった。前駆体としてピレン錯体を用いても同様の結果が得られた。合成の容易さを考えて、ナフタレン錯体をクロムカルボニル前駆体錯体として適切であるとわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アレーン交換を経由する単純アレーンのホウ素化の開発に成功した。この反応は、配位性置換基のない単純アレーンにも適用できることも見出した。このように、当初の計画のように、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き最適条件下におけるアレーン基質の適用範囲を調べる。特に電子豊富アレーンの反応に重点を置く。 反応機構に関する知見を得るために、ラジカル補足剤や芳香族求核置換反応が起こるような電子不足アレーンの反応を検討する。重水素で標識したアレーン錯体を用いて、ホウ素化反応において重水素同位体効果が見られるかどうかについても検討する。
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