研究課題/領域番号 |
22K05114
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐古 真 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (20804090)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ビナフチル型キラルボリン酸 / 不斉有機分子触媒 / 不斉非対称化 / 多成分連結反応 / キラルボリン酸 / ビナフチル構造 / キラルジオール / 不斉触媒 / エナンチオ選択性 / ビナフチル |
研究開始時の研究の概要 |
触媒的不斉合成は少量のキラル源で大量の光学活性体を合成できるため、省エネルギー・環境調和の点で優れている。本研究では、新たな不斉合成技術の創出を目指し、新規ビナフチル型キラルボリン酸やキラルジオールの合成と不斉触媒としての応用を実施する。様々な触媒機能を持った新規不斉触媒群を一挙に構築できる点で独創性が高い。また、キラル化合物は医農薬品や電子材料など多岐にわたる分野でも利用されており、本研究の潜在的応用性は高く新規機能性分子開発として意義深い。
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研究実績の概要 |
2023年度中は、昨年度に合成したビナフチル型キラルボリン酸の不斉触媒能や化学的安定性について研究を実施した。 ビナフチル型キラルボリン酸の不斉触媒能を1,2-メソジオールのベンジル化による非対称化において確かめた。その結果、目的のベンジル化生成物が94%収率と37% eeで得られ、中程度ながらビナフチル型キラルボリン酸触媒による不斉誘起が観測された。本触媒の設計構造の有効性を明らかにするために、ビナフタレン骨格の3位にボリン酸ユニットを持つ化合物を別途合成し、同じ反応条件に付した。その結果、生成物は収率良く得られたものの、エナンチオ過剰率はわずか4%であった。また、ビナフチル型キラルボロン酸触媒は触媒能が低く、生成物はラセミ体として得られた。本反応における不斉収率には課題が残るものの、これらの結果はビナフチル型キラルボリン酸の設計指針を合理的に支持するものであり、引き続き触媒構造の改良に取り組む。 次に、合成したビナフチル型キラルボリン酸の化学的安定性について調査した。一般にボリン酸は、ボリン酸無水物の形成や反応の過程でボロン酸へと分解することが報告されている。いくつかの検証実験を行った結果、本キラルボリン酸はモノマーとして安定に存在することや、Ph2BOHに比べて化学的安定性が向上していることを明らかにした。ビナフチル骨格の2位にホウ素原子を導入したことで、ビナフチル型キラルボリン酸の安定性が向上していると考えられ、本結果について対照実験や量子化学計算を用いて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成したビナフチル型キラルボリン酸の不斉有機分子触媒としての機能、およびその化学的安定性について評価した。いずれも期待通りの結果が得られ、構造的特徴の考察から今後の触媒構造の設計に関する指針も得られている。現在のところ、キラルボリン酸触媒の合成と応用に関する研究は研究計画書通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は触媒構造の改変を行い、不斉有機分子触媒としての機能向上を目指す。また、従来の不斉触媒では困難であった不斉触媒反応へ本触媒を適用する。特に、水分子を用いる三成分の不斉触媒反応において良好な萌芽データが得られており、本反応の開発を進める。また、反応機構研究でも興味深い知見が得られており、実験および計算化学により考察を進める。
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