研究課題/領域番号 |
22K05116
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
川本 拓治 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70756139)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | ラジカル / トリフルオロメチル / 二酸化硫黄 / 亜硫酸水 |
研究開始時の研究の概要 |
「ビニルトリフラートを3つの機能を持つ試薬として利用し,新規含フッ素有機化合物を合成できるか?さらに3機能試薬の概念を一般化できるか?」を明らかにする研究を行う。
|
研究実績の概要 |
有機フッ素化合物はフッ素の特異的な性質により様々な分野で重宝されている。例えば,近年の農薬では約50%が有機フッ素化合物であることが明らかになって いる。そのため,それらの効率的な合成法の開発は重要な研究課題である。 ビニルトリフラートは有機合成において重要な求電子剤である。これまでに遷移金属触媒によるカップリング反応など様々な反応で利用されてきた。しかしなが ら,これらの反応ではトリフルオロメチル基は最終生成物に組み込まれない。 最近,研究代表者らはビニルトリフラートに対してトリエチルボランやAIBNなどのラジカル開始剤を作用させると,二酸化硫黄の脱離を伴いながら,α位にトリ フルオロ基が置換したケトンが効率よく得られることを見いだした。この反応は分子間反応で進行することを明らかにしている。また,アルケンを共存させると トリフルオロメチルラジカルがアルケンに付加し,続いてビニルトリフラートに付加,その後の開裂反応によりγ位にトリフルオロメチル基を有するケトンが得 られることを見いだした。しかしながら,上記2つの反応では温室効果ガスである二酸化硫黄が副生成物として生じる。 本研究ではビニルトリフラートをトリフルオロメチルラジカル源,スルホン(二酸化硫黄)源およびケトンの3つの機能を有する試薬として利用する手法の開発 を目的としている。 ビニルトリフラートと1-オクテンのようなアルケンとの反応では,目的とするトリフルオロメチル基を有するβーケトスルホンを得ることができた。しかし,同時にスルホン基を有さない,トリフルオロメチル基を有するケトンも得られた。種々条件の検討を行った結果,効率よく目的物を得ることができなかった。しかし,外部二酸化硫黄源として,亜硫酸水を添加したところ,効率よく目的物を得ることに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
効率は中程度であるが,ビニルトリフラートを3機能性試薬として利用する反応を開発することができた。1-オクテンなどのシンプルなアルケンを用いた場合は,亜硫酸水を添加することで,目的のトリフルオロメチル基を有するケトスルホンを効率よく得ることができた。さらに,アルケンの種類によっては,亜硫酸水を添加せずとも目的の化合物が得ることができる端緒を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
アルケンの種類を変更し,ビニルトリフラートを3機能性試薬として利用する反応の開発を実施する。また,ビニルトリフラート類縁体を用いた同様の変換反応も検討する。
|