研究課題/領域番号 |
22K05118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
岡内 辰夫 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60274552)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ビニルケテンイミン鉄錯体 / ビニルケテン鉄錯体 / ベンゾキノン / チタンアミド / 有機鉄錯体 / ビニルケテンイミン—鉄錯体 / ピロール |
研究開始時の研究の概要 |
ジエン-鉄錯体は安定で取り扱いやすいため,これまで様々な反応に用いられてきた。しかしながら、そのほとんどは、ジエン周辺部分での反応に限られ、ジエン部分を直接反応に用いた例は、ほとんど知られていない。申請者は研究の過程で,ジエン-鉄錯体の一種であるビニルケテンイミン-鉄錯体が、電子不足アルキンと反応し,配位ジエン部分が直接反応に関与し、ピロールが生成する結果を得た。この反応は,配位ジエン部分が直接反応に関与する珍しい例である。そのため、反応の詳細な検討は、ジエン-鉄錯体の新たな反応性の発見につながると考え、ビニルケテンイミン-鉄錯体と求電子剤との反応の研究を行う。
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研究実績の概要 |
本年度から,ビニルケテンイミン鉄錯体の合成に必要不可欠な鉄ペンタカルボニルの入手が不可能となった。そのため,急遽計画を変更し,鉄ペンタカルボニルを用いないジエン鉄錯体の合成についての検討を行った。現在比較的容易に入手できる鉄カルボニル錯体は,ノナカルボニル二鉄がある。そこで,ノナカルボニル二鉄を用いるジエン鉄錯体の合成についての検討を行った。その結果,エーテル溶媒中でノナカルボニル二鉄とジエンを加熱することで,鉄錯体が得られることはわかったが,ドデカカルボニル三鉄の副生が認められ,分離が困難であった。そこで,種々反応条件の検討を行ったところ,ベンザルアセトンを配位子として添加すると,その副生が抑えられ,比較的良好な収率で,目的とするジエン鉄錯体の合成が行えることがわかった。 次に,ノナカルボニル二鉄を用いることで合成したビニルケテンイミン鉄錯体と,ベンゾキノン類の反応について,昨年度に引き続き検討した。その結果,一部の化合物の結晶化に成功し,単結晶X線構造解析によって,その構造を明らかにすることができた。これは,当初想定していたビニルケテンイミン鉄錯体と電子不足アルキンとの反応の形式と全く異なり,ベベンゾキノンのカルボニル炭素に対して,ビニルケテンイミン鉄錯体の配位炭素が求核攻撃することで反応が起こっていることがわかった。 また,同様の反応は,ビニルケテンイミン鉄錯体のみならず,ビニルケテン鉄錯体を用いた場合にも進行することを見出した。 この結果は,日本化学会春季年会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず初めに,鉄ペンタカルボニルが入手不可能となったことから,一時期研究の遂行が不可能になる可能性もあったが,ノナカルボニル二鉄を用いる新たなジエン鉄錯体の合成法を確立できたこと。また,当初の目的の一つであったビニルケテンイミン鉄錯体に対する反応剤としてのベンゾキノンとの反応生成物の構造を決定することができた。その反応形式がわかったことにより,今後の反応機構解明につながると考えこの評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
ビニルケテンイミン鉄錯体とベンゾキノンが反応の反応機構についての検討を行う。 また,ベンゾキノン以外の求電子剤の探索をおこなう。
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