研究課題/領域番号 |
22K05121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
太田 哲男 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (50213731)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ルテニウム錯体 / α位活性化 / 選択的反応 / 錯体触媒 / 新規触媒開発 |
研究開始時の研究の概要 |
C=C結合へのアミンの付加反応は原子効率の高いアミン合成法として重要である.本研究では,その新手法として「α,β-不飽和カルボニル化合物中のC=C結合のα-炭素に窒素求核剤が付加する形式的1,3-付加反応」を提案・実現する.α,β-不飽和カルボニル化合物ではβ-位が求電子的であるが,本研究では,その求電子点をα位に移動させる. その戦略は,アクリル酸誘導体のβ位に置換基を導入して,置換基と金属種との相互作用を起点としてC=C結合の電子の偏りを反転させるというものである.
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研究実績の概要 |
C=C結合へのアミンの付加反応は原子効率の高いアミン合成法として重要である.本研究では,その新手法として「α,β-不飽和カルボニル化合物中のC=C結合のα炭素に窒素求核剤が付加する形式的1,3-付加反応」を提案・実現する.α,β-不飽和カルボニル化合物ではβ位が求電子的であるが,本研究では,その求電子点をα位に移動させる.その戦略は,β位に含窒素芳香環や芳香環を置換したアクリル酸誘導体において,それらの芳香環と金属種との相互作用を起点としてC=C結合の電子の偏りを反転させるというものであり,α,β-不飽和カルボニル化合物の新たな合成有機化学的価値を生み出す. この反応では,C=C結合が非対称な場合,位置選択性が問題となる.この問題には種々の解決策があるが,遷移金属錯体触媒を用いる例として,Hartwigらはビニルアレーンを基質とするヒドロアミノ化反応において,触媒金属を変換することで位置選択的に反応が進行することを明らかにしている. まず,芳香族化合物とルテニウムとの錯体形成を試みた.芳香族化合物として,桂皮酸エチル誘導体の配位を検討したが,錯体の単離が難しかった.そこで,桂皮酸tert-ブチル誘導体とクマリン骨格を持つ化合物を取り上げ,その合成を行い,二塩化para-シメンルテニウム二量体との,芳香族交換反応を検討した.初めの化合物では錯体の合成は見られなかったが,二つ目の化合物ではサンドイッチ型の錯体合成が確認された.実際には,para-シメンとクマリン骨格化合物で挟まれたルテニウム錯体が,ジカチオンとして合成できたと考えられるスペクトルがNMRにより得られた.この結果は,本研究の最初の一歩としての段階を示しており,これからの進展に期待が持てる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での中心的観点は,金属錯体化することで,芳香族が電子求引性となり,不飽和結合の極性転換を引き起こすことにある.そこで芳香族化合物とルテニウムとの錯体形成を試みた.芳香族化合物として,桂皮酸エチル誘導体の配位を検討したが,錯体の単離が難しかった.そこで,桂皮酸tert-ブチル誘導体とクマリン骨格を持つ化合物を取り上げ,その合成を行い,二塩化para-シメンルテニウム二量体との,芳香族交換反応を検討した.初めの化合物では錯体の合成は見られなかったが,二つ目の化合物ではサンドイッチ型の錯体合成が確認された.実際には,para-シメンとクマリン骨格化合物で挟まれたルテニウム錯体が,ジカチオンとして合成できたと考えられるスペクトルがNMRにより得られた. 錯体が得られたことから,この錯体の反応性を解明することで,触媒反応への展開が可能となり,目的反応を引き起こすことができるようになる可能性を示唆している.これは,本研究の最初の一歩としての段階を示しており,これからの進展に期待が持てる.
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今後の研究の推進方策 |
ルテニウム上への芳香族化合物の配位の可能性が示唆されたことより,次いで,その錯体上の芳香族化合物の反応性を明らかにする.いわゆる、極性転換により反応性が変更され,α位選択的求核置換反応,もしくは求核付加反応が起これば,次の段階に進んだこととなる. すなわち,当量反応への展開を行う.当量反応が進行すれば,次は目的の触媒反応の実行となるが,反応性の良し悪しを判断し,より電子的に工夫した基質への展開を図る必要も検討する.これ等が達成できれば,最終の触媒反応への応用を随時進めていく所存である.
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