研究課題/領域番号 |
22K05131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
三宅 弘之 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (00271198)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 超分子 / 金属錯体 / らせん / キラル / 構造変換 / 発光 / 分子認識 / アミノ酸 |
研究開始時の研究の概要 |
キラル分子認識場を提供できる置換活性ならせん型金属錯体が、エナンチオ選択的にキラルな外部基質を取り込む事に着目して、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)法により、極低濃度で高感度に複数の外部基質のエナンチオマー過剰率(ee)の同時決定を目指すものである。そのため、完璧なヘリシティーを構築できる希土類錯体の合成と外部基質のキラル分子認識に焦点を絞り研究展開を行う。その過程において、キラル環状配位子/希土類錯体の錯体形成やその構造/発光/キラル特性、および三元錯体形成時におけるそれら特性の動的変換挙動について機能評価を行い、外部基質に対するキラル認識機能を明らかとする。
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研究実績の概要 |
本研究は、キラル分子認識場を提供するらせん型金属錯体がエナンチオ選択的に外部基質を取り込む事に着目して、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)法を活用した複数の外部基質のエナンチオマー過剰率(ee)の同時決定を目指すものである。特に、置換活性ならせん型金属錯体としてアミドアームを持つアザマクロサイクルからなる希土類錯体に着目し、アミノ酸等の配位性キラル外部基質のeeを決定する。当該希土類錯体の安定度は高く、また電荷が3価であることからESI-MS測定において高いイオン強度でのシグナル観測が期待される。そのことから極低濃度でのee決定が実現できると見込まれる。また、これらの錯体はらせん構造の構築や構造変換のユニットとして期待されるばかりではなく、キラル生体分子や無機アニオンの高感度発光センシングプローブとしての機能評価も行う。 キラルなアミドアームを持つトリアザシクロノナンやサイクレン配位子を新規に合成し、それらの希土類錯体を調製した。しかし、合成した配位子の光学純度が低く本研究目的のためには光学純度の高い配位子が必要であった。本年度はそのための反応条件を探索し、99%のジアステレオマー過剰率(de)がでキラル配位子を得ることに成功した。一方、キラルなアミドアームを持つトリアザシクロノナンやサイクレン配位子からなるTb(III)では緑色発光を確認することができたため、外部基質の発光センシングへの応用も期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アミドアームを持つキラルなアザマクロサイクル配位子およびそれらの希土類錯体を合成し、それらのヘリシティー構造をX-線結晶構造解析やDFT計算により明らかにした。キラル配位子の光学純度を高めるため合成条件の検討を様々行い、今回の研究目的であるキラル外部基質の不斉識別に必要な純度での配位子合成を達成することができた。また、トリアミドアームドトリアザシクロノナンやサイクレン配位子からなる希土類錯体の構造をDFT計算により最適化を行い、どちらも主として2つの構造異性体の平衡混合物として存在することを明らかにした。いずれの希土類錯体も無保護アミノ酸と三元錯体を形成することをESI-MS測定により確認しており、おおむね順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに研究代表者らは、精密に制御された動的なキラル分子認識場を持つ金属錯体を用いてアミノ酸のエナンチオマー過剰率決定をESI-MSにより達成できることを見出してきた。これらの結果に基づき、本研究では、環状型キラル配位子からなる希土類錯体を活用して、さらなる低濃度検出化を目指す。特に外部基質として遊離アミノ酸やキラルカルボン酸を取り上げ、それらに対するキラル認識について検討を行う。 昨年度までに、キラルなアミドアームを含むマクロサイクル配位子からなる希土類錯体の合成とアミノ酸誘導体との三元錯体の形成、および希土類中心からの発光特性を活用した無機アニオンのセンシングに関して知見を得てきた。しかし、配位子の合成過程において一部ラセミ化が見られ、光学純度の高い配位子合成法の確立が求められ、本年度は配位子合成において様々な条件検討を行った結果、光学純度の高い配位子を合成することに成功した。今後は、改めてアミノ酸等キラル基質に対する不斉選択的な三元錯体の形成について、紫外可視吸収スペクトルや円偏光二色性スペクトル、NMR、X-線結晶構造解析、発光スペクトルや円偏光発光スペクトル、振動円偏光二色性スペクトルを活用して詳細に検討する。
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