研究課題/領域番号 |
22K05134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
竹林 智司 沖縄科学技術大学院大学, サイエンステクノロジーグループ, サイエンス・テクノロジーアソシエイト (10609283)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | コバルト / NHC配位子 / 水素化 / 水素移動反応 / コバルトセン / メタロセン / ホモリシス / 核磁気分光法 / 二核錯体 / 窒素固定化 / 水素分子活性化 / 水素化還元 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、窒素分子の水素化還元反応によって人類が利用する窒素源の90%以上がアンモニアとして生産されている。この反応には過酷な反応条件が必要なため、全世界エネルギーの約1.1%がこの反応に消費されている。一方、均一触媒による酸と還元剤を用いた室温常圧下での窒素分子還元反応は知られているが、大量の副生成物を伴うため実用的でない。本課題では申請者が発見した二核コバルト触媒を用いて、水素分子から高い反応性を持つプロトン源と電子源を生成し、均一触媒を用いた窒素分子の水素化還元反応を実現する。この反応の実現はエネルギー効率の高い、次世代アンモニア合成プロセスの確立に大きく貢献する。
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研究実績の概要 |
本年度は本研究を進めていく過程で発見した21の形式価電子を有するコバルトセン化合物の合成と解析を論文として発表した。この結果はこれまで不可能と考えられていた19電子コバルトセン化合物への配位を可能にした最初の例であり、現在この結果を基にこれまでにない特性を持つメタロセン化合物の開発を行っている。 本研究課題の当初の目的である、コバルト化合物を用いた水素分子の活性化とその利用においては、水素分子の活性化によって得られたコバルトヒドリド錯体が水素移動反応において高い活性を示すことを見出し、それを用いた新規触媒反応の開発を行った。またこの研究過程で鉄化合物を用いても同様の反応が可能であることを見出し、現在その触媒反応への応用を模索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していたコバルト化合物を用いた水素分子の活性化とそれを用いた新規触媒反応の開発に成功している。窒素分子の還元反応には至っていないが、窒素分子と同様に水素移動反応への反応性の低い有機分子の触媒的水素化反応に成功している。さらに鉄化合物が本研究で開発したコバルト触媒をしのぐ最も反応性の高い、水素移動反応触媒であることを見出している。また本研究の派生研究としてこれまでにない、18以上の形式価電子をもつ遷移金属化合物への配位を利用した新しい配位化学の概念を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
1.本年度明らかにしたコバルト化合物を用いた水素移動反応による水素化反応に関する研究をまとめ、その論文発表を行う。 2.鉄触媒を用いた水素移動反応による水素化反応を発展させることで、窒素分子の水素化還元反応を実現する。 3.本年度明らかにした他のメタロセン化合物を用いた新規配位化学の研究結果をまとめその論文発表を行う。
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