研究課題/領域番号 |
22K05135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
西浦 正芳 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (30332258)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 希土類 / C-H結合活性化 / オレフィン重合 / 自己修復 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、本申請者がこれまで独自に進めてきたカチオン性希土類錯体触媒を中心として、C-H結合活性化反応と炭素-炭素または炭素-窒素不飽和結合の連続挿入による重合を同時にまたはone-potで逐次的に進行させることが可能な、有機合成触媒と重合触媒の特徴を併せ持つ複合機能希土類触媒を開発する。それらを用いてポリマー連鎖構造を精密に制御し、従来の触媒では合成困難な極性官能基を有するポリオレフィン類を合成し、自己修復性や耐熱性エラストマーなどの高機能性高分子材料の創製を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、本申請者がこれまで独自に進めてきたカチオン性希土類錯体触媒を中心として、C-H結合活性化反応と炭素-炭素または炭素-窒素不飽和結合の連続挿入による重合を同時にまたはone-potで逐次的に進行させることが可能な、有機合成触媒と重合触媒の特徴を併せ持つ複合機能希土類触媒を開発する。それらを用いてポリマー連鎖構造を精密に制御し、従来の触媒では合成困難な極性官能基を有するポリオレフィン類を合成し、優れた自己修復性や耐熱性、発光特性などを示す高機能性高分子材料の創製を目指す。 本年度は、ハーフサンドイッチ型スカンジウム触媒を用いて、発光ユニットとしてスチリルピレン基を組み込んだモノマーとアニシルプロピレンとエチレンとの三元共重合を行うことにより、高い蛍光量子収率で発光し、ゴムのように伸縮する自己修復性材料の開発に成功した。自己修復性を引張試験で評価したところ、24時間で引っ張り強度が完全に回復し、アニシルプロピレンとエチレンの二元共重合体の自己修復時間(5日間)と比べて、自己修復速度が向上した。この材料に特定の波長の光を照射すると、スチリルピレン基内の炭素―炭素二重結合の[2+2]環化付加が進行して蛍光特性を制御することができる。この特徴を生かしたフォトリソグラフィーによって、フィルム状にした材料の表面に二次元画像を転写させることに成功した。自然光では転写した形を認識することはできないが、紫外線を照射することによって形を認識できることから、情報記憶デバイスとしての応用が考えられる。さらに、キラルハーフサンドイッチ型スカンジウム触媒を用いることにより、オルト-C-H結合活性化を経由する芳香族ジミンとアルケンのエナンチオ選択的[3 + 2]環化反応を初めて達成した。これは、多置換キラル1-アミノインダンの合成のための直接的なルートとして、有用性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、スカンジウム触媒系を用いることにより、発光ユニットを組み込んだモノマーとアニシルプロピレンとエチレンとの三元共重合を行うことにより、高い蛍光量子収率で発光し、画像の転写も可能な自己修復性材料の開発に成功した。この機能性ポリマーは、発光特性やフォトリソグラフィーによる二次元画像の転写機能だけではなく、以前報告したアニシルプロピレンとエチレンの二元共重合体と比べてより優れた自己修復性を示し、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
不飽和結合へのC-H付加に対する希土類触媒の特異な反応性や、希土類元素とヘテロ元素とのユニークな相互作用などを生かして、極性オレフィンと非極性オレフィンとの精密共重合や、C=X不飽和結合(X = O, N, S, etc.)とC=C二重結合とのドミノ型付加環化重合などについて詳細に検討し、従来では実現困難であった、極性官能基を有するポリオレフィンや主鎖にヘテロ環骨格を有する一連の新しいポリマーの創製を行う。
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