研究課題/領域番号 |
22K05144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (60011186)
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研究分担者 |
片岡 洋望 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40381785)
野元 昭宏 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60405347)
鳴海 敦 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (60443975)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光線力学療法 / 光増感剤 / クロリンe6 / 錯体 / 抗体 / 糖 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢化社会を迎える本邦では、安価で低侵襲性のがん治療法である光線力学療法 (Photodynamic Therapy: PDT)の高性能化は喫緊の学術的課題である。本医工連携研究では、がん細胞のみではなく、がん組織間質に存在しがん生存(増殖、浸潤、転移や抗がん剤抵抗性獲得など)を下支えしている細胞群をも同時にターゲットにした高性能第三世代のPDT用光増感剤の開発を目的としている。具体的には、がん組織間質細胞を標的とする抗体、生体適合性に優れる天然物系色素、および重原子効果による活性酸素種の産生効率の向上が期待される貴金属をハイブリッド化させた光増感剤を創出し、機能評価を行う。
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研究実績の概要 |
1.光線力学療法用の抗体連結光感受性薬剤としてクロリンe6、バクテリオフェオホルバイドとN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)と反応させて、NHS連結光増感剤を合成する。次いで、抗体のNH2基と縮合させる抗体連結新規光増感剤の合成ルートを確立する。抗体として、がん新生血管内皮を標的とした血管内皮増殖因子 (VEGF) 受容体抗体、TAM(tumor associated macropharge)を標的としたCD206抗体、免疫応答の抑制的制御T細胞(Treg)を標的としたCD25抗体、CAFの表面蛋白としてFAP (Fibroblast Activation Protein)抗体等を予定している。分光光度計により光感受性錯体の蛋白質濃度および色素/蛋白質比を特定する。TOF-MSによりキャラクタリゼーションを行う。 2.我々のグループで進めている糖連結クロリンe6であるG-Chlorin-e6 TMEについてタンパク質導入を試みた。抗体導入について、一般に色素は水への溶解性が低く通常の合成反応の適用が困難であることから、最初に抗体への導入として安価アルブミンを用いた予備的検討を行うことから始めた。準備として、G-Chlorin-e6 TMEを加水分解し、1か所だけがカルボン酸となったジメチルエステル体(G-Chlorin-e6 DME)とし、縮合剤(DCC)を用いてSulfoNHS活性エステル化法での反応を行い、アルブミンへの導入を行った。その後、Her2抗体への導入を進めた。 3.上記のアルブミンへの導入およびHer2抗体への導入実験において、いずれの場合もタンパクの物質量に対し、0.2当量のG-Chlorin-e6 DMEのNHS結合物を反応させたときに10分子程度の色素が結合可能であることが示唆され、今後の展開が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施したタンパク質(アルブミン、HER2)の物質量に対し、0.2当量のG-Chlorin-e6 DMEのNHS結合物を反応させたときに10分子程度の色素が結合可能であることを確認できた。本研究計画を推進のための基盤となる成果である。 以上から「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を基盤にして、抗体のNH2基と縮合させる抗体連結新規光増感剤の合成ルートを確立する。得られる新規抗体連結光増感剤のPDT試験を実施する。さらには、PDTと併用するための抗がん性金属錯体を開発する。
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