研究課題/領域番号 |
22K05146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
西岡 孝訓 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10275240)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 三核錯体 / N-ヘテロ環カルベン / 硫黄 / N-へテロ環カルベン / N-ヘテロ環カルベン / カップリング反応 / 触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
金属錯体を触媒とする炭素-硫黄結合生成反応では、金属と硫黄の高い親和性により安定なチオレート錯体が生成して触媒が失活するため、パラジウムなどの単核錯体を触媒とした成功例は非常に少ない。本研究では、2つの硫黄配位子が3つの金属イオンを架橋した構造をもつ三核錯体を用い、配位子付加反応や供与性の強いN-ヘテロ環カルベン配位子の導入によって硫黄部位を活性化し、炭素-硫黄反応を進行させチオレート配位子を生成する。さらに、チオレート配位子が架橋硫黄配位子よりも架橋配位能が低いことを利用して硫化物イオンと置換し金属中心から脱離させ、触媒的硫黄移動型炭素-硫黄結合生成反応を実現する。
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研究実績の概要 |
シクロオクタジエン-ロジウム(I)錯体ユニットやペンタメチルシクロペンタジエニル-ロジウム(Ⅲ)錯体ユニットは、二座キレートN-ヘテロ環カルベン-白金(Ⅱ)錯体ユニットと同じく三核錯体核部位に12電子の寄与があり安定な三核錯体を与えると期待できることに加えて、配位子の立体や金属中心の酸化数の違いなどにより、硫黄配位子部位の反応性が変化すると考えられる。そこで、三核錯体に組み込んだ硫黄配位子の反応性を調整するため、これまでに確立した二座キレートN-ヘテロ環カルベン配位子をもつ非対称白金(Ⅱ)三核錯体の合成法を拡張することによりメチレン架橋部位をもつ二座キレートN-ヘテロ環カルベン-白金(Ⅱ)錯体ユニット2つにこれらの単核ロジウム錯体ユニットをそれぞれ1つ導入した、三重架橋硫黄配位子をもつ混合金属三核錯体を合成した。これらの錯体の反応性を検証するため、溶液中での銀(Ⅰ)イオンとの相互作用をプロトンおよび白金の核磁気分光測定により評価した結果、白金二核部位と硫黄配位子の両方が反応サイトとして機能することが分かった。この結果は、三核錯体に組み込む金属錯体ユニットの酸化数や配位子の立体障害が三核錯体の核部位の反応性を大きく低下させることがないことを示しており、様々な金属錯体ユニットの組み込みが、反応性向上の一つの手段であることを表している。しかしながら、ハロゲン化アルキルとの反応については、まだよくわかっていない。 そこで三核錯体の反応性を向上するためにニッケル錯体ユニットの導入を行うこととし、まず組み込むニッケル錯体ユニットの反応性を調べた。シクロペンタジエニル配位子とN-ヘテロ環カルベン配位子をもつニッケル錯体の炭素-硫黄カップリング反応に対する触媒能を調査した結果、触媒能が低いながらも反応が進行することがわかり、三核錯体に組み込むユニットとして有用な候補であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画で合成予定だった非対称三核パラジウム錯体の合成がうまくいかず、その代わりとして白金二核ユニットにパラジウムと同周期のロジウム錯体ユニットを組み込んだ三核錯体を合成し、その反応性を明らかにしたが、ハロゲン化アルキルの反応についての調査が十分に行えていない。しかし、白金二核ユニットをもつ混合金属錯体の合成法は確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
さらなる三核錯体の反応性の向上のため、N-ヘテロ環カルベン配位子をもつ白金錯体ユニットを導入した混合金属三核錯体を合成する。導入する金属錯体ユニットとして、より置換活性なニッケル錯体を用い、比較的安定な三核錯体ユニットを構築することができる二核白金錯体ユニットを組み合わせることで反応性と安定性を向上させ、硫黄部位での反応を進行させる。また、白金錯体ユニットを1つにした三核錯体やパラジウム錯体ユニットを組み込んだ三核錯体についても、炭素-硫黄結合生成反応に利用できないか検討を行う。
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