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抽出分離法を利用する金属塩の高精度主成分分析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05151
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分34020:分析化学関連
研究機関千葉大学

研究代表者

勝田 正一  千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (40277273)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード溶媒抽出 / 高精度主成分分析法 / カリウム / ナトリウム / クラウンエーテル / カリックスアレーン / イオンセンサー / 主成分分析 / 高精度分析 / アルカリ金属塩
研究開始時の研究の概要

材料としての高純度金属塩へのニーズは広範な産業分野に及んでおり,その純度評価は極めて重要である。一方,金属元素の定量に用いられる機器分析法では,分析値の精度が純度の要求レベルを満たさないことが多い。そのため,高純度金属塩の純度決定では,不純物を分析しその総量から純度を求める“不純物差し引き法”が広く利用されている。しかし,この方法では主成分が正しくその純度を満たす保証がないという大きな問題がある。本研究課題では,金属塩の新しい純度決定法を開発することを目的とし,抽出分離法を利用した金属主成分の高精度定量法を提案する。主にアルカリ金属塩を対象に,分析法の最適条件の確立と有効性の実証を行う。

研究実績の概要

研究代表者が考案した “抽出分離法を利用する金属塩の高精度主成分分析法” を,純度グレードの異なる数種のカリウム塩(KCl,KNO3)のK+含有量の定量に適用した。ここで,K+抽出用ニュートラルキャリアとして 18-クラウン-6,対陰イオン(標準物質)の塩としてピクリン酸マグネシウム,抽出溶媒としてジクロロメタン,pH調整剤としてBis-Trisを用い,前年度に確立した条件で抽出・分析を行った。その結果,妥当な分析結果を高い精度(独立した6回の測定において変動係数0.2%以下)で得ることができ,主成分分析法としての本法の有効性を実証することができた。

また,市販のNa+イオンセンサー用ニュートラルキャリアである4-tert-ブチルカリックス[4]アレーン-O,O',O'',O'''-四酢酸テトラエチルを抽出剤に用いて,アルカリ金属ピクリン酸塩の抽出実験を行い,25℃での抽出平衡定数を決定した。その結果から,上記の主成分分析法をNa+の定量分析に適用するのに本配位子を利用し得ることを確認できた。

さらに,令和4年度に研究代表者等らが新規合成したNa+抽出用ニュートラルキャリアであるビス[(12-クラウン-4)メトキシ]ジアルキルシラン(またはジフェニルシラン)を用いてPVC膜型イオンセンサーを作成し,種々のアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンに対する電位応答を調べた。その結果,いずれも高いNa+選択性を示すことがわかり,特にケイ素上の2つのアルキル基がいずれも2-エチルヘキシル基である場合に,市販のNa+センサー用ニュートラルキャリアであるビス[(12-クラウン-4)メチル]-2-ドデシル-2-メチルマロネートを凌ぐ優れたNa+選択性を示した。また,置換基がフェニル基の場合は著しく選択性が低下することから,置換基の構造がイオン選択性に大きく影響することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者らが考案した新しい主成分分析法の有用性を「カリウム塩中のK+の定量」において実証できたことで,本研究課題における第一の目標が達成された。次に,本法を「ナトリウム塩中のNa+の定量」へ展開するために,Na+を選択的に抽出可能なニュートラルキャリアを見つける必要があるが,それについても抽出能・抽出選択能を実験的に評価することによって,市販の配位子(4-tert-ブチルカリックス[4]アレーン-O,O',O'',O'''-四酢酸テトラエチル)および自ら合成した配位子(ビス[(12-クラウン-4)メトキシ]ジアルキルシラン)が有望であることを確認できた。

今後の研究の推進方策

(1) 種々のナトリウム塩のNa+含有量の分析に対して本分析法を適用し,その有用性を評価する。
(2) 令和5年度に調べた4-tert-ブチルカリックス[4]アレーン-O,O',O'',O'''-四酢酸テトラエチル以外の市販ニュートラルキャリア(チアカリックス[4]アレーン誘導体等)について,アルカリ金属ピクリン酸塩に対する抽出能・抽出選択能を詳しく調べる。
(3) Na+やLi+に選択的な新規含ケイ素ニュートラルキャリアを合成する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] 海水等の塩水分析における溶媒抽出法の新たな応用2024

    • 著者名/発表者名
      勝田 正一
    • 雑誌名

      日本海水学会誌

      巻: 78 ページ: 29-36

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Extraction spectrophotometry using a lithium-ion selective metallacrown: temperature effect on extraction reaction and application to determination of lithium in serum and seawater2024

    • 著者名/発表者名
      Katsuta Shoichi、Maeda Kosuke
    • 雑誌名

      Analytical Sciences

      巻: 40 号: 7 ページ: 1373-1379

    • DOI

      10.1007/s44211-024-00569-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 海水等の塩水分析における溶媒抽出法の新たな応用2023

    • 著者名/発表者名
      勝田 正一
    • 学会等名
      日本海水学会第74年会 研究会横断シンポジウム「2050に向けた海水研究の最前線」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 新規ビス(12-クラウン-4)誘導体の合成とイオンセンサーへの応用2023

    • 著者名/発表者名
      井野 喜康,若林 宏斗,勝田 正一
    • 学会等名
      第40回合同シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 分離法・分析法としての液液抽出の新たな可能性2023

    • 著者名/発表者名
      勝田 正一
    • 学会等名
      第40回合同シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 抽出溶媒としてのプロトン性イオン液体の特性2023

    • 著者名/発表者名
      勝田 正一
    • 学会等名
      日本分析化学会第72年会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ケイ素架橋型ビス(12-クラウン-4)の合成とナトリウムイオンセンサーへの応用2023

    • 著者名/発表者名
      井野 喜康,若林 宏斗,勝田 正一
    • 学会等名
      日本分析化学会第72年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ナトリウムイオン抽出剤としてのケイ素架橋型ビス(12-クラウン-4)化合物の性能評価2023

    • 著者名/発表者名
      若林 宏斗,井野 喜康,勝田 正一
    • 学会等名
      日本分析化学会第72年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 溶媒抽出を利用したKCl試料中カリウムの高精度分析法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      高田 悠斗,岩下 朝美,勝田 正一
    • 学会等名
      連合年会2023(第36回日本イオン交換研究発表会・第42回溶媒抽出討論会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ケイ素架橋ビス(12-クラウン-4)化合物のナトリウムイオン選択性2023

    • 著者名/発表者名
      勝田 正一,若林 宏斗,井野 喜康
    • 学会等名
      連合年会2023(第36回日本イオン交換研究発表会・第42回溶媒抽出討論会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ナトリウムイオンを選択的に捕捉する新規クラウン化合物2023

    • 著者名/発表者名
      勝田 正一
    • 学会等名
      令和5年度新技術説明会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [産業財産権] イオン選択性を有する化合物、その製造方法およびそれを用いたイオン選択性感応膜2023

    • 発明者名
      勝田 正一
    • 権利者名
      勝田 正一
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2023-034129
    • 出願年月日
      2023
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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