研究課題/領域番号 |
22K05163
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
岡村 浩之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (30709259)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | イオン液体 / 溶媒抽出 / 抽出分離 / 抽出剤 / 配位子 / テクネチウム / レニウム / アニオン |
研究開始時の研究の概要 |
テクネチウム-99は長寿命放射性核種であり,環境中に放出されると長期的な影響を及ぼすため,効率的な除去技術の開発が求められているが,環境水から選択的に分離可能な手法はほとんどない。本研究は,テクネチウムに対して高い抽出能を示す抽出剤を含有する新規プロトン性イオン液体を合成し,抽出剤かつ抽出媒体として用いることで,テクネチウムの高効率かつ選択的なイオン液体抽出系を構築し,環境水中テクネチウムの効率的な除去システムを開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
テクネチウム-99は,半減期21万年の長寿命放射性核種であり,溶液中では主に過テクネチウム酸イオン(TcO4-)として存在する。環境中に放出されると長期的な影響を及ぼすことから,効率的に除去できる技術の開発が求められているが,環境水などのpHが中性付近の水溶液からテクネチウムを選択的に分離することは難しい。テクネチウムの分離法としてイオン液体を媒体とした溶媒抽出法を利用した場合は,有機溶媒系では困難であった中性水溶液からの抽出分離が可能になり,さらに,プロトン性イオン液体を用いると,複合的な相互作用が働くため,優れた抽出分離特性を示すことが期待できる。本研究は,テクネチウムに対して高い抽出能を示す抽出剤を含有する新規プロトン性イオン液体を合成することで,高効率かつ選択的なイオン液体抽出系を構築し,環境水中テクネチウムの効率的な除去システムを開発することを目的としている。本年度は,合成したプロトン性イオン液体を用いて,TcO4-のアナログとなる過レニウム酸イオン(ReO4-)の抽出における共存イオンの影響を調べ,抽出選択性を評価するとともに,抽出平衡について検討した。 具体的には,環境水中に多く存在するアルカリ金属イオン,アルカリ土類金属イオン,塩化物イオンなどとReO4-を含む水溶液を用いて抽出実験を行ったところ,これらのイオンが高濃度で共存していてもReO4-のほぼ全量を抽出可能であったことから,本抽出系は共存イオンの影響を受けないことが明らかになったとともに,これらの夾雑イオンは抽出されなかったことから,ReO4-に対して高い選択性を有することが示された。また,抽出平衡についての検討を行ったところ,ReO4-はイオン交換によって抽出されることが明らかになった。以上の結果から,開発したプロトン性イオン液体抽出系は,環境水中のTcO4-を効率的に除去できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に実施した内容は,概ね研究計画に沿ったものである。合成したテクネチウムに対して高い抽出能を示す抽出剤を含有するプロトン性イオン液体を用いて,環境水中に多く含まれるさまざまなイオンの抽出分離特性を評価し,ReO4-に対して高い抽出選択性を有することを明らかにしたとともに,ReO4-はイオン交換によってイオン液体相に抽出されることを示したことから,当初期待した通りの成果が得られていると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画に大きな変更はなく,当初の計画に沿って,開発した抽出剤を含有するプロトン性イオン液体を用いて99TcO4-の抽出実験を行い,抽出分離特性を評価するとともに,99TcO4-の抽出におけるさまざまな共存イオンの影響を調べ,最適な抽出条件を確立する。その後,実環境水を用いて99TcO4-の分離除去を行うことを目指して研究を実施する。
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