研究課題/領域番号 |
22K05165
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
下坂 琢哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (40295473)
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研究分担者 |
豊田 栄 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30313357)
山田 桂太 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (70323780)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 同位体比 / 標準ガス / SIトレーサブル / δ13C / メタン / 一次標準物質 / 安定同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素や酸素同位体比測定の基準(一次標準物質)は、炭酸塩等を主成分とする天然物を粉砕・均質化・小分けしたもので、NBS(現NIST)や国際原子力機関により50年以上供給されてきた。ただ、一次標準物質のロット更新のたびに同位体比の不確かさが大きくなる、長期間での安定性評価が困難である等の問題がある。これら問題解決のため、本研究課題では、質量測定に基づく高精度なガスの混合法と超高分解能である安定同位体比測定用質量分析計により、SIトレーサブルに13C/12C絶対値を決定した同位体比標準ガスがつくれることを実証する。また、本課題で開発する手法は他の安定同位体標準物質への展開も期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、参照試料を用いずにメタンの13C/12C同位体比の絶対値を決定した標準ガスを開発することを目標としている。そのためには、純12CH4の純度を、化学的な純度のみならず同位体純度についても決定する必要がある。そこで、純12CH4ガスと13C/12Cは不明であるがある一定値を持つ工業用の純CH4とを正確な比率で混合した標準ガスを数本調製し、12CH4の同位体純度と調製した標準ガスの13C/12C同位体比を決定することを考えている。純12CH4と通常のCH4を正確に希釈して13C/12C同位体比を変えた複数の標準ガスを用いた時、必要とされる測定精度・13C/12Cの範囲について、シミュレーションを行った。 標準ガスの測定結果から同位体比を決定する計算方法は、測定結果と計算から求められる測定結果の差が最小となるように同位体比を求める方法であり、原理的には他研究者の既報と同様である。最適解を求める計算において、準安定状態(極小)が多数あり、容易には最適解が求められないことが判明し、今後準安定状態を乗り越えて最適解を探索する手法を用いることが必要であると思われる。 標準ガスの同位体比を測定するためには、測定装置に導入する標準ガス量を一定にする必要がある。そのためには、標準ガスの圧力を正確に測定する必要があり、圧力基準となる装置の開発に取り掛かった。圧力基準器の温度変動を抑えるために、専用の恒温槽を自作・開発した。これは、発泡スチロールを断熱材として用いた恒温ボックスに、ペルチェ素子と高精度なペルチェ素子用の温度制御器を用いることにより、室温付近で温度を一定にできることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
物流の悪化に伴い、装置・ガス・部材等の納期が軒並み長期化し,また価格が上昇して、思うように実験が進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
原料ガスの同位体純度を決定するための最適な条件を見出し、その条件に沿って適切な標準ガスを質量比混合法で調製して、本課題で提案した同位体比の絶対値を求める方法の検証を行う。測定結果から同位体比を求めるときに用いる計算手法については、極小値で収束してしまい最小値を得られない問題があることが分かったため、これを避ける手法を検討する。化学純度決定を行う。特に水分をできるだけ少ない試料量で決定する方法を検討する。実際に12CH4と工業用純CH4を原料として質量比混合法により同位体比が異なる複数の標準ガスを調製する。その標準ガスを用いて、実際に同位体比の絶対値を求めると共に、VPDBスケールと比較して、得られた同位体比絶対値の検証を行う。
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